10月の手取りは4〜6月の給与で決まる
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10月の給料日に手取りが減っていたら、原因は10月の働き方ではありません。今年の4月・5月・6月に支払われた給与です。この3か月の平均で1年分の社会保険料が決まり、9月分から新しい額に切り替わります。
保険料を翌月に控除する会社が多いため、9月分の保険料は10月支給の給与から引かれます。春に残業が集中した人ほど、秋になって天引きが増えます。
この記事でわかること
- 4〜6月の給与が9月分の保険料になるまでの流れ
- 標準報酬月額が2等級上がったときの負担額
- 春だけ忙しい人が使える申立ての条件
決まったのは4月から6月の給与
社会保険料の土台になる標準報酬月額は、4月・5月・6月に支払われた報酬の平均から計算します。この手続きが定時決定(算定基礎届)です。
対象になるのは、支払基礎日数が17日以上ある月です(正社員などの場合)。17日に満たない月は平均から外れます。
平均に入るのは基本給だけではありません。残業代・通勤手当・住宅手当なども報酬に含まれます。4月から6月に残業した分は、その月の給与ではなく1年分の保険料に効いてきます。
一方、賞与は定時決定の対象外です。賞与には標準賞与額という別の仕組みで保険料がかかります。
7月の届出から9月分への切り替わり
会社は7月に算定基礎届を年金事務所へ提出し、その結果が9月分の保険料から適用されます。適用期間は原則として9月分から翌年8月分までの1年間です。
途中で大きく給与が変わったときは、随時改定(月額変更届)で年の途中に見直されます。昇給や役職手当の追加で固定的賃金が変わり、3か月平均で2等級以上動いた場合が対象です。
決定した内容は「標準報酬決定通知書」として会社に届きます。従業員へ配る義務はないため、自分の等級を知りたいときは会社の担当者に聞くのが早道です。
天引きが変わるのは10月の給料
9月分の保険料が実際に給与から引かれる月は、会社の控除方法で2通りに分かれます。
- 翌月控除(多数派):9月分の保険料を10月支給の給与から引く
- 当月控除:9月分の保険料を9月支給の給与から引く
自分の会社がどちらかは、給与明細を2枚並べると判断できます。9月支給分と10月支給分を比べ、健康保険料と厚生年金保険料の欄が変わった月が切り替わりの月です。
10月に手取りが減っても、基本給が下がったわけではありません。総支給額はそのままで、控除の欄だけが太くなります。
2等級上がると月5640円の負担増
標準報酬月額が30万円から34万円へ2等級上がると、本人負担は月5,640円増えます。年間では67,680円です。
計算に使う料率は次のとおりです(最終確認日:2026-09-08)。
- 健康保険:協会けんぽの2026年度・全国平均9.90%。労使折半で本人4.95%
- 厚生年金:18.3%で固定。労使折半で本人9.15%
| 標準報酬月額 | 健康保険 | 厚生年金 | 本人負担の合計 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 14,850円 | 27,450円 | 42,300円 |
| 32万円 | 15,840円 | 29,280円 | 45,120円 |
| 34万円 | 16,830円 | 31,110円 | 47,940円 |
健康保険料率は都道府県で違います。2026年度は佐賀県の10.55%が最も高く、新潟県の9.21%が最も低い水準です。上の表は全国平均で計算した目安のため、実額は自分の勤務先が加入する健康保険の料率で変わります。
40歳から64歳の人は、ここに介護保険料が乗ります。料率は全国一律1.62%で、本人負担は0.81%です。標準報酬月額30万円なら月2,430円、34万円なら月2,754円になります。2等級上がったときの増加額は、介護保険料を含めると月5,964円です。
負担が増えるだけの話ではありません。厚生年金の標準報酬月額が上がると、将来受け取る老齢厚生年金も増えます。傷病手当金や出産手当金の日額も標準報酬月額をもとに計算されます。
4〜6月だけ忙しい人の申立て
業務の性質上4〜6月に残業が偏る人は、年間平均で計算し直す道があります。保険者算定という特例です。
日本年金機構が示す条件は2つあります。
- 4〜6月の3か月平均から出した標準報酬月額と、前年7月から当年6月までの12か月平均から出した標準報酬月額に、2等級以上の差があること
- その差が業務の性質上、例年発生すると見込まれること
手続きには「年間報酬の平均で算定することの申立書」(様式1)と、例年の状況や本人の同意を示す書類(様式2)が要ります。届出をするのは会社です。
たまたま今年だけ残業が多かったという理由では通りません。 決算期が4〜6月に重なる経理や、繁忙期が春に固定されている職種が想定されています。心当たりがあるなら、来年の算定基礎届の前に会社の担当者へ相談するのが現実的です。
上限65万円が動くのは2027年9月
2026年度時点の厚生年金の標準報酬月額は、1等級88,000円から32等級650,000円までです。報酬がいくら高くても、保険料の計算は65万円で頭打ちになります。
この上限は2025年6月に成立した年金制度改正法で見直されました。2027年9月から3年かけて、65万円から75万円へ段階的に引き上げられます。
対象になるのは、上限に張り付いている高所得層です。今年10月の手取りには影響しません。ただし該当する人は、2027年以降に保険料と将来の年金額が同時に増えます。
なお健康保険の標準報酬月額は厚生年金より等級の幅が広く、上限も別に設定されています。厚生年金が上限に達していても、健康保険料は報酬の増加に応じて上がります。
9月中に確かめる3つ
10月の給与明細を見て驚く前に、9月のうちにできる確認は3つです。
- 4〜6月の給与明細を出し、総支給額の平均を出す。前年と比べて残業代が増えていれば、等級が上がっている可能性が高くなります
- 会社が翌月控除か当月控除かを給与明細で見る。控除の変わる月が10月か9月かで、家計に効くタイミングがひと月ずれます
- 自分の標準報酬月額を会社に聞く。決定通知書は会社に届いており、等級が分かれば負担額は上の表で計算できます
手取りが月5,000円変わると、年間では6万円の差になります。増えた分をどこから吸収するかは、10月に慌てて決めるより9月のうちに決めておくほうが選択肢が広くなります。
40歳の誕生月から介護保険料が加わる点も見落としがちです。今年40歳になる人は、定時決定と重なって天引きが二重に増えることがあります。
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参考情報
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。保険料率や制度内容は改定されることがあります。最新の情報は日本年金機構と、加入している健康保険の公式サイトでご確認ください。