10月の酒税改正で何が変わる?ビール9円下げ・第三のビール7円上げ
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【追記:2026-09-04】施行の10月1日まで、あと1ヶ月を切りました。 変わるのは350ml缶1本あたりの税額で、ビールは9.10円下がり、第三のビールは7.26円・缶チューハイは7.00円上がります。9月のうちにやることは本文末尾の3つ(銘柄の区分を缶の表示で確認/箱買い前に格上げ予定を確認/晩酌代を金額で把握)に絞られます。主力の第三のビールにはビールへ切り替わる銘柄があるため、駆け込みの箱買いは確認してからが安全です。
2026年10月1日から、ビール・発泡酒・新ジャンル(いわゆる第三のビール)の酒税が、350ml換算で54.25円に一本化されます。ビールは9.10円下がり、発泡酒(麦芽比率25パーセント未満)と新ジャンルは7.26円上がります。缶チューハイなどは28.00円から35.00円へ、7円の増税です。
つまり、**「安いほうを買っておけばいい」という基準が、10月に入れ替わります。**節約のつもりで第三のビールに揃えてきた家庭ほど、10月から負担が増える側に回ります。数字はすべて国税庁の資料で確認しました(最終確認日:2026-08-25)。
例:夫婦で毎晩1本ずつ、第三のビールを飲む家庭
ここでは架空のモデル世帯として、30代の共働き夫婦を考えます。子どもはまだいません。晩酌は2人とも350ml缶を1本ずつ、ほぼ毎日。銘柄は「ビールより安いから」という理由で第三のビールに揃えています。
この家庭は、酒代を節約項目として意識してきました。ビールを第三のビールに替えたことも、電気のプランを見直したことも覚えています。ところが10月からは、その選択が逆に効いてきます。
**節約の判断は、税制が変わった瞬間に賞味期限を迎えることがあります。**この家庭に何が起きるのかを、順番に見ていきます。
350ml缶1本の税額は、こう動く
まず前提の整理です。2020年10月・2023年10月・2026年10月の3段階で税率を統一する改正が進んでおり、2026年10月がその最終段階にあたります。
現在(2023年10月~2026年9月)と10月以降の税額は次のとおりです。
| 区分 | 現在(350ml換算) | 2026年10月~ | 差 |
|---|---|---|---|
| ビール | 63.35円 | 54.25円 | 9.10円 下がる |
| 発泡酒(麦芽比率25パーセント未満)・新ジャンル | 46.99円 | 54.25円 | 7.26円 上がる |
| 缶チューハイなど(その他の発泡性酒類) | 28.00円 | 35.00円 | 7.00円 上がる |
1キロリットル当たりで見ると、ビール系飲料はすべて155,000円に統一されます。発泡酒は麦芽の使用比率ごとに税率が分かれていましたが、これも10月に比率と関係なく一本化されます。
500ml缶なら、変化はもう少し大きくなります。ビールは13.0円下がり、新ジャンルは約10.4円、缶チューハイは10.0円上がる計算です。
**ここまでは税額の話であって、店頭価格そのものの話ではありません。**この区別が、後で効いてきます。
この家庭の年間差額は、約5,300円の増
モデル世帯に戻ります。350ml缶を1日2本、365日飲むと年間730本です。
第三のビールのまま飲み続けた場合、増える税額は7.26円 × 730本で、年5,299円。月あたりでは約442円の負担増です。
もし同じ本数をビールに切り替えたなら、税額は9.10円 × 730本で年6,643円下がります。税額だけを見れば、切り替えたほうが年1万1,900円ほど有利になる計算です。
ただし、ここで止めると判断を誤ります。ビールと新ジャンルの店頭価格の差は、税額の差だけでできているわけではないからです。現在の税額差は63.35円と46.99円の差、つまり16.36円。10月にこれがゼロになりますが、残りの価格差は原材料費と各社の値付けによるもので、税制改正では消えません。
「第三のほうが安い」が効かなくなる、もう一つの理由
税額が並ぶことで、メーカー側も動いています。日本経済新聞などの報道によれば、キリンビールは主力の第三のビール「本麒麟」を2026年下期にビールへ切り替えると発表し、サントリーも「金麦」で同様の方針を先に打ち出しています。いずれも本体価格は第三のビールと同等に据え置く方向とされています。
これが意味するのは単純です。これまで「第三のビール」という棚にあった主力商品が、10月以降は「ビール」の棚に移るということです。増税されるカテゴリーそのものが、主力銘柄から抜けていきます。
この家庭が9月末に慌てて第三のビールを箱買いしても、10月以降に同じ銘柄が同じ中身で売られているとは限りません。買いだめの前に、飲んでいる銘柄が格上げの対象かどうかを確かめたほうが確実です。
缶チューハイは7円増、ただし度数の枠は広がる
缶チューハイやサワーが属する「その他の発泡性酒類」は、1キロリットル当たり80,000円から100,000円へ引き上げられます。350ml缶で7円、500ml缶で10円の増税です。
増税後の35.00円は、それでもビール系の54.25円より19.25円低い水準です。チューハイ党が一気にビールへ流れる、という話にはなりません。
もう一点、あまり知られていない変更があります。この低い税率を適用できるアルコール分の上限が、10度未満から11度未満に広がります。これまで10度で線が引かれていたため、度数を9パーセント台に抑えた商品が多くありました。10月からは、その線が1度分ゆるむことになります。
この家庭が、9月のうちに決めること
判断材料を並べると、こうなります。
酒税改正 | 2026年10月1日から
350ml缶1本にかかる酒税は、どう動くか
税額の話です。店頭価格は各社の値付けで別途動きます
| 10月からの税額 | 9月までとの差 | |
|---|---|---|
| ビール 発泡酒(麦芽比率50パーセント以上)を含む | △ 54.25円 | ○ 9.10円 下がる |
| 発泡酒(25パーセント未満)・新ジャンル いわゆる第三のビール | △ 54.25円 | × 7.26円 上がる |
| 缶チューハイなど その他の発泡性酒類 | ○ 35.00円 | × 7.00円 上がる |
- ※税額であって店頭価格ではありません。本体価格は各社の価格改定で別に動きます
- ※主力の第三のビールにはビールへ切り替える動きがあり、10月以降も同じ中身とは限りません
資産化計画
このモデル世帯がやることは、3つに絞れます。
- いま飲んでいる銘柄の区分を、缶の表示で確かめる。「ビール」「発泡酒」「リキュール(発泡性)」など、品目は缶に必ず書かれています。自分がどこに乗っているかが分からないと、10月に何が起きるかも分かりません。
- **箱買いの前に、その銘柄が格上げされるかを確認する。**格上げされる銘柄なら、9月の買いだめは中身ごと過去のものになります。
- **晩酌代が月いくらか、金額で把握する。**この家庭の増加分は月442円です。気づかない程度の額だからこそ、記録がないと「なんとなく食費が増えた」で終わります。
3つ目でつまずく人は多いはずです。酒代は食費に混ざり込みやすく、レシート入力をやめた時点で見えなくなります。銀行やカードと連携して自動で記録するタイプの家計簿アプリなら、10月の前後で嗜好品費がどう動いたかを後から比べられます。
この改正で、家計が受け取るべきメッセージ
酒税の一本化は、家計から見れば「銘柄選びで得をする余地が減る」改正です。ビールと第三のビールの税差16.36円という、10年以上続いた前提が消えます。
モデル世帯の年5,299円は、家計を揺るがす額ではありません。それでも取り上げる価値があるのは、同じ構造の変化がほかの費目でも起きているからです。安いほうを選んだつもりが、制度の変更で並ばれる。電気の料金プランでも、通信でも、同じことが繰り返されています。
だから結論は「ビールに戻しましょう」ではありません。10月をきっかけに、いま飲んでいるものが何の区分で、いくら払っているかを一度だけ確かめる。それだけで十分です。
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参考情報
- 国税庁「発泡性酒類の段階的な税率変更に係る品目及び税率適用区分の表示方法の手引き」(令和5年8月)
- 国税庁「酒のしおり(令和8年7月)」
- 日本経済新聞「キリン『本麒麟』、ビールに格上げへ サントリー金麦に続く」
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。