自営業のiDeCo7.5万円、付加年金を払うと7.4万円
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自営業やフリーランス(国民年金の第1号被保険者)のiDeCoの上限が上がります。2026年12月分の掛金から、月6.8万円が月7.5万円になります。ただし国民年金の付加保険料(月400円)を払っている人の上限は、月7.4万円です。楽天証券の制度改正ページに、この金額が表で載っています。
付加年金をやめても、iDeCoの枠は1,000円しか増えません。 上限まで積み立てる人の多くは、付加年金を続けたまま7.4万円にするほうが筋のよい選択です。この記事では、架空のフリーランスを1人置いて、数字で確かめます。
7.4万円になる理由は1,000円単位
7.5万円という上限は、iDeCoだけの枠ではありません。国民年金基金の掛金か、国民年金の付加保険料と合わせた金額です。楽天証券の案内では、改正後の上限は次の3通りに分かれます。
- 付加保険料も国民年金基金もない人:月75,000円
- 付加保険料(月400円)を払っている人:月74,000円
- 国民年金基金に入っている人:月75,000円から基金の掛金を引いた額
付加保険料の400円を引くと、残りは74,600円です。iDeCoの掛金は1,000円単位で決めるため、1,000円未満は切り捨てになります。その結果が74,000円です。
国民年金基金に月2万円を払っている人なら、iDeCoに回せるのは月5.5万円までです。なお、国民年金基金の加入員は付加保険料を払えません(日本年金機構)。付加と基金のどちらか一方と、iDeCoを組み合わせる形になります。
数字は2026年10月22日に、楽天証券と三菱UFJ銀行のiDeCoの案内、日本年金機構のページで確かめた内容です。
架空のフリーランスの試算
ここからは架空のモデルで考えます。38歳のフリーランスのデザイナーで、課税所得は約500万円とします。実在の人物ではありません。
この人は今、付加保険料400円とiDeCo67,000円を毎月払っています。12月分から上限が上がると聞いて、こう考えました。
「付加年金をやめれば、iDeCoを75,000円の満額にできる。そのほうが得ではないか」
選べる道は2つです。
- 案A:付加年金を続けて、iDeCoを74,000円にする
- 案B:付加年金をやめて、iDeCoを75,000円にする
どちらを選んでも、今より毎月7,000円以上をiDeCoに足すことになります。違いは、付加年金の400円とiDeCoの1,000円を交換するかどうかだけです。
税金の軽さはほぼ同じ
案Aと案Bで、税金の軽くなる額はほとんど変わりません。付加保険料は国民年金の保険料なので、社会保険料控除の対象です。iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象です。国税庁によると、どちらも払った全額を所得から引けます。
モデルの人の税率は、所得税20%(課税所得330万〜694.9万円の区分)です。復興特別所得税(所得税額の2.1%)を足すと20.42%になります。住民税の所得割10%を加えると、合計は約30.42%です。
案Bは案Aより、毎月の支払いが600円多くなります。年間では7,200円です。控除が増える分、税金は年に約2,190円軽くなります。
| 案A(付加を続ける) | 案B(付加をやめる) | |
|---|---|---|
| iDeCoの掛金 | 月74,000円 | 月75,000円 |
| 付加保険料 | 月400円 | 0円 |
| 毎月の支払い合計 | 74,400円 | 75,000円 |
| 年間の控除額 | 892,800円 | 900,000円 |
| 税金の差 | 基準 | 年約2,190円軽い |
税の差は、案Bで多く払う600円に税率を掛けた分にすぎません。税金だけで見れば、どちらを選んでも差は年2,000円ほどです。
差がつくのは65歳からの受け取り
差がはっきり出るのは、老後に受け取るお金のほうです。日本年金機構によると、付加年金の額は「200円×付加保険料を納めた月数」です。老齢基礎年金と合わせて、一生受け取れます。
モデルの人が60歳まで付加保険料を払い続けると、残りは22年(264か月)です。
- 払う付加保険料:400円×264か月=105,600円
- 受け取る付加年金:200円×264か月=年52,800円
65歳から受け取ると、2年分で払った額に届きます。3年目からは受け取るほど上回ります。税金や繰上げ・繰下げを考えない単純計算です。
案Bを選ぶと、この年52,800円の年金はなくなります。代わりにiDeCoに入るのは、1,000円×264か月=264,000円の掛金と、その運用の結果です。iDeCoは運用成績で受け取る額が変わり、元本が確保されない商品もあります(iDeCo公式サイト)。
iDeCo | 2026年12月分からの自営業の上限
付加年金を続けるか、やめるか
38歳・課税所得約500万円の架空モデルで比べた場合
| iDeCoの上限 | 65歳からの上乗せ | 税の軽さ | |
|---|---|---|---|
| 案A 付加を続ける iDeCo7.4万円+付加400円 | △ 月74,000円 | ○ 付加年金 年52,800円 | ○ 支払った全額が控除 |
| 案B 付加をやめる iDeCo7.5万円 | ○ 月75,000円 | × 付加年金はなくなる | ○ 案Aより年約2,190円軽い |
- ※付加年金は60歳まで22年間払った場合の単純計算です
- ※付加年金は定額で、物価スライドはありません(日本年金機構)
- ※iDeCoは運用成績で受け取る額が変わり、元本割れすることがあります
資産化計画
モデルの人が選んだ道
比べた結果、モデルの人は案Aを選びます。理由は3つです。
- iDeCoで増える枠は月1,000円だけで、失う付加年金の400円との交換になる
- 付加年金は、払った額に2年の受け取りで届く終身の年金である
- 税の差は年約2,190円で、判断を変えるほどの金額ではない
それでも余るお金は、iDeCoの外で積み立てる方法があります。候補は新NISAです。
案Bが合う人の条件
付加年金にも弱い点はあります。日本年金機構のページには、付加年金は定額なので物価スライドがないと書かれています。物価が上がり続けると、年52,800円で買えるものは減っていきます。
次のような人は、案Bを検討する余地があります。
- 60歳まで残りの年数が短く、付加保険料を払える月が少ない
- 物価の上昇に連動しない年金を増やしたくない
- 1,000円でもiDeCoの枠を増やす理由が、ほかの事情からはっきりしている
ただ、案Bで増える掛金は月1,000円です。物価が心配なら、付加年金を続けたうえで新NISAで株式や投資信託を持つ方法もあります。付加年金をやめる以外の手が残っている点は、決める前に一度考える価値があります。
12月分から増やすための手続き
上限が上がっても、掛金は自動では増えません。自分で掛金額の変更を届け出る必要があります。
| 時期 | やること | 確認先 |
|---|---|---|
| 2026年10月31日まで | 三菱UFJ銀行のiDeCo加入者は、紙の事前受付の締切(必着) | 三菱UFJ銀行の案内 |
| 2026年12月1日から | e-iDeCo(電子申請)で新しい上限に合わせた変更の取扱い開始 | りそな銀行の案内 |
| 2027年1月26日 | 12月分の掛金が引き落とされる | 金融機関の案内 |
事前受付の有無と締切は、金融機関ごとに違います。三菱UFJ銀行の10月31日は同行の加入者向けの日付です。ほかの金融機関の人は、自分の金融機関のお知らせで受付期間を確かめてください。電子申請の受付期間はiDeCoの掛金は、12月に自動では上がらないで詳しくまとめています。
控除の年にも気をつけます。国税庁によると、小規模企業共済等掛金控除はその年に払った掛金が対象です。12月分の掛金は2027年1月26日の引き落としなので、2027年分の控除に入ります。
案Bを選んで付加年金をやめるなら、市区町村の役所か年金事務所に申出書を出します。日本年金機構によると、申出をした月の前月分から付加保険料を払う人ではなくなります。iDeCo側の掛金の変更とは別の手続きです。両方を出し忘れないようにしてください。
モデルの人の場合、今の67,000円から74,000円に上げると、年間の控除は84,000円増えます。税率約30.42%なら、税金は年に約2.5万円軽くなる計算です。
上限を超える分の置き場所
iDeCoを7.4万円まで使っても、まだ積み立てたいお金が残る人もいます。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。そのため、使い道が決まっていないお金をすべてiDeCoに入れるのは向きません。
60歳より前に使うかもしれないお金は、新NISAで積み立てる方法があります。新NISAは、商品を売ると翌年以降にその簿価分の枠が戻る仕組みです(金融庁)。途中で売ることも制度の中に組み込まれています。毎月いくらを何年続けると、どのくらいになるかは新NISA積立シミュレーターで試算できます。
SBI証券でも新NISAの口座を開けます。iDeCoと新NISAを同じ金融機関にまとめる必要はありません。
今日やること
付加保険料を払っているかどうかは、国民年金の納付額で見分けられます。定額の保険料に月400円が上乗せされていれば、付加保険料を払っています。
- 自分が付加保険料を払っているか、国民年金基金に入っているかを確かめる
- 払っているなら、iDeCoの新しい上限は74,000円か「75,000円-基金の掛金」と把握する
- 自分の金融機関で、掛金変更の受付期間と締切を確かめる
付加年金の続け方に迷う場合は、払う月数と受け取る年数を先に数えてみてください。数字にすると、付加をやめる理由があるかどうかが見えてきます。
あわせて読みたい
参考情報
最終確認日:2026-10-22
- 【2026年12月制度改正】iDeCoの加入可能年齢・拠出限度額が引き上げ(楽天証券):第1号加入者の上限75,000円、付加保険料ありは74,000円、国民年金基金ありは75,000円-基金掛金、1,000円単位
- 【2026年12月制度改正】掛金額変更の事前受付について(三菱UFJ銀行):事前受付の締切2026年10月31日(必着)、2027年1月26日引落分から
- 付加保険料の納付(日本年金機構):付加保険料月400円、200円×納付月数、国民年金基金加入員は納付不可、辞退の申出
- 付加年金(日本年金機構):定額のため物価スライドなし
- iDeCoの2026年12月法改正(りそな銀行):e-iDeCoでの掛金額変更は2026年12月1日から、2027年1月26日引落分から適用
- NISAを知る(金融庁):売却すると翌年以降に簿価分の枠が復活
- iDeCoの特徴(iDeCo公式サイト):原則60歳まで引き出せない、給付額は運用成績で変動
- No.1130 社会保険料控除(国税庁)
- No.1135 小規模企業共済等掛金控除(国税庁)
- No.2260 所得税の税率(国税庁)
- 個人住民税(総務省):所得割の税率10%
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。