投資・NISA

企業型DCの放置、自動移換の手数料は月98円に

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会社の企業型DC(企業型確定拠出年金)に入っていた人が退職し、6か月ほど何も手続きをしないと、資産は「自動移換」されます。自動移換になると運用が止まり、最初に4,348円、その4か月後からは毎月98円の手数料が資産から引かれます。

月98円は、2026年4月に52円から上がった新しい金額です。 古い解説記事には52円のまま載っているものがあるため、年内に転職や退職を控えている人は、今の金額で計算し直してください。

この記事では、退職を控えた人が抱きやすい疑問を、Q&Aの形で順に答えていきます。

Q1 自動移換とは何か

A. 移し先を決めずに放っておいた企業型DCの資産が、国民年金基金連合会に預けられた状態です。

企業型DCの資産は、会社を辞めても消えません。ただし、辞めた会社の制度にはもう置いておけないため、本人が次のどちらかを選ぶ必要があります。

  • 転職先の企業型DCに移す
  • 個人型のiDeCoに移す

条件を満たす人は、脱退一時金として受け取る道もあります。どれも選ばないまま期限を過ぎると、資産は国民年金基金連合会に移されます。この状態が自動移換です。

自動移換になると、持っていた投資信託などは売られて現金で管理されます。三菱UFJ銀行の案内では、自動移換中は運用できないことに加え、そのままでは老齢給付金を受け取れないと説明されています。

Q2 いつまでに手続きすればいいか

A. 退職日の翌日が属する月の、翌月1日から数えて6か月以内です。

企業型DCの加入者の資格は、退職日の翌日に失われます。期限の数え始めは、その日が属する月の翌月1日です。

例として、次の2つの日程を考えます。

  • 12月31日に退職:資格を失うのは1月1日。数え始めは2月1日で、期限の目安は7月末
  • 10月31日に退職:資格を失うのは11月1日。数え始めは12月1日で、期限の目安は5月末

実際に自動移換が行われる時期は、記録関連運営管理機関の処理によって前後します。自分の期限は、退職時に届く案内か、DCの加入者サイトで確認してください。

期限は「6か月」とだけ覚えると、数え始めを1か月早く見積もって慌てることになります。 逆に、遅く見積もって期限を越えるほうが損は大きくなります。

Q3 自動移換されると何円引かれるか

A. 移された時点で4,348円、4か月後からは毎月98円です。

三菱UFJ銀行の案内に載っている手数料(税込)は次のとおりです(最終確認日:2026-10-14)。

  • 自動移換されたとき:4,348円(特定運営管理機関3,300円+国民年金基金連合会1,048円)
  • 自動移換から4か月が過ぎた後:毎月98円(特定運営管理機関58円+国民年金基金連合会40円)

毎月の98円は、年1回、3月末に1年度分がまとめて資産から差し引かれます。月ごとの明細に出ないため、引かれていることに気づきにくい仕組みです。資産が0円の人からは、自動移換時の4,348円は取られません。

52円から98円への改定

毎月の管理手数料は、2026年3月までは52円でした。マネーフォワードが運営するMONEY PLUSの解説記事(2026年3月31日公開)は、2026年4月から98円へ、約1.9倍に引き上げられると伝えています。

年額にすると、624円から1,176円への増加です。10年放置すれば、管理手数料だけで約1.2万円になります。

Q4 放置したあとiDeCoに移すと、差はいくらか

A. 手数料だけで比べても4,898円の差が出ます。運用できなかった期間の損は、さらに上乗せされます。

iDeCoに移すと、どの金融機関を選んでも、国民年金基金連合会に2,829円の手数料がかかります。期限内に自分で移した場合、この2,829円が入口の主な費用です。

自動移換されてからiDeCoに移すと、三菱UFJ銀行の案内では3,379円(特定運営管理機関550円+国民年金基金連合会2,829円)かかります。自動移換時の4,348円と合わせて、入口と出口で7,727円です。

例として、企業型DCに30万円ある人が、自動移換のあと3年たってからiDeCoに移す場合を計算します。

  • 自動移換時:4,348円
  • 管理手数料:98円×33か月=3,234円(最初の4か月を除いた概算)
  • iDeCoへ移すとき:3,379円
  • 合計:約1.1万円

期限内に移した場合の2,829円と比べると、差は約8,100円です。さらに、30万円が3年間まったく運用されません。

iDeCoに移したあとも、口座の維持に毎月の手数料はかかります。ただし、iDeCoでは資産を投資信託などで運用し続けられます。自動移換の本当の損は、手数料より「何年も止まったお金」のほうにあります。

Q5 転職先に企業型DCがある場合はどうするか

A. 転職先の企業型DCに移すのが基本です。手続きは転職先の担当部署に聞きます。

転職先に企業型DCがあれば、前の会社の資産をそこへ移せます。移す手続きは、転職先の人事や総務が案内するのが一般的です。入社時の書類にDCの項目がなければ、自分から聞いてください。

自動移換になってから転職先の企業型DCに移す場合も、特定運営管理機関に550円の手数料がかかります(三菱UFJ銀行の案内による)。

転職先に企業型DCがない人や、自営業・フリーランスになる人は、iDeCoに移すのが基本の選択肢です。会社員でも、iDeCoに加入して掛金を出し続けられます。

Q6 期限を過ぎたら、もう取り戻せないか

A. 取り戻せます。自動移換のあとでも、iDeCoか企業型DCに移せば運用を再開できます。

自動移換された資産は、国民年金基金連合会が預かっているだけで、なくなってはいません。iDeCoの口座を開くときに「自動移換されている資産を移す」と申し出れば、移し替えられます。

注意点は、自動移換されていた期間です。三菱UFJ銀行の案内では、自動移換の期間は確定拠出年金の加入期間に数えられません。加入期間が短いと、60歳から受け取り始められない場合があります。

自動移換されると、国民年金基金連合会から「自動移換通知」が届き、その後も年1回「定期通知」が送られてきます。前の会社のDCがどうなったか分からない人は、まず手元の郵便物を探し、通知に書かれた問い合わせ先に確認してください。

Q7 今日、何から手をつけるか

A. 自分の資産額と期限を確かめ、移し先の口座を決めます。

退職を控えた人は、次の3つの順で進めてください。

  1. DCの加入者サイトにログインする:今の資産額と、運営管理機関の名前を確認する
  2. 期限を数える:退職日の翌日が属する月の翌月1日から6か月、と数えてカレンダーに書く
  3. 移し先を決める:転職先に企業型DCがあればそちら、なければiDeCoの金融機関を選ぶ

iDeCoに移す場合、手続きには前の会社の運営管理機関名や、基礎年金番号を書く書類が要ります。書類が届くまでに日数がかかるため、期限の2か月前には申し込みを済ませておくと安心です。

iDeCoの移し先を選ぶとき

iDeCoの金融機関は、毎月の運営管理手数料と、選べる投資信託の数で比べます。楽天証券とSBI証券は、運営管理手数料が0円で、低コストの投資信託もそろっています。NISAを同じ会社で使っている人は、管理する画面が1つで済みます。

iDeCoに移した資産は投資信託などで運用するため、元本割れすることがあります。退職金とDCの受け取り方を一緒に考えたい人は、受け取り時期のルールも先に確認しておいてください。

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参考情報

※手数料の額は、記事作成時点で金融機関が公表している金額です。運営管理機関によって追加の手数料がかかる場合があります。正確な金額と期限は、ご自身の運営管理機関の案内でご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。