節税・税金

駐車場代の通勤手当、非課税は月5,000円まで

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車で通勤し、会社近くの月極駐車場に月8,000円を払っている。会社は距離に応じた通勤手当に駐車場代を上乗せしてくれるが、給与明細では駐車場代の分に税金がかかっていた。2026年4月からは、この駐車場代のうち月5,000円までが非課税になりました。

ただし、対象は勤務先や駅の周辺の駐車場に限られ、自宅近くの月極は入りません。非課税になっても、社会保険料は下がりません。(制度の内容は国税庁のQ&Aで確認。最終確認日:2026-10-15)

年末調整の書類が配られる時期です。この記事では、駐車場代の非課税について広まりやすい3つの誤解を、国税庁と日本年金機構の資料で一つずつ正します。

何が変わったのか

国税庁によると、令和8年度の税制改正で、車や自転車で通勤する人の通勤手当の非課税限度額が2点変わりました。

  • 片道65km以上の人の非課税限度額が引き上げられた
  • 一定の駐車場を使い、その料金を負担している人は、距離に応じた限度額に駐車場代(月5,000円まで)を足せるようになった

適用されるのは、2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当です。4月より前の期間の差額をあとからまとめて払う分には、新しい限度額は使えません。

距離に応じた非課税限度額は次のとおりです。片道55km未満の区分は改正前と同じ金額です。

片道の通勤距離1か月の非課税限度額
2km未満全額課税
2km以上10km未満4,200円
10km以上15km未満7,300円
15km以上25km未満13,500円
25km以上35km未満19,700円
35km以上45km未満25,900円
45km以上55km未満32,300円
55km以上65km未満38,700円
65km以上75km未満45,700円(改正前38,700円)
75km以上85km未満52,700円(改正前38,700円)
85km以上95km未満59,600円(改正前38,700円)
95km以上66,400円(改正前38,700円)

出典:国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」(令和8年4月)

駐車場を使う人は、この表の金額に駐車場代を最大5,000円まで足した額が限度額になります。電車と車を両方使う人は、定期代と距離の限度額と駐車場代の合計で、上限は月15万円です。

誤解1 会社が駐車場代を出してくれるようになる

改正で変わったのは税金のかかり方で、会社が払う義務ではありません。

国税庁のQ&Aは、会社が通勤手当として支払った額のうち、どこまでを非課税にできるかを定めたものです。駐車場代を通勤手当に上乗せするかどうかは、それぞれの会社の給与規程で決まります。

会社が駐車場代を1円も払っていない人は、改正の前後で手取りは変わりません。自分で払っている駐車場代を、確定申告で差し引けるようになったわけでもありません。

会社が駐車場を契約している場合

会社が従業員に代わって駐車場を借り、料金を払っている場合も対象です。国税庁のQ&Aでは、会社が負担した駐車場代は「駐車場代に当たる通勤手当を払ったもの」として計算します。

Q&Aの例では、片道50kmの人に距離分の手当32,300円を払い、会社が月6,000円の駐車場を借りています。限度額は32,300円に5,000円を足した37,300円です。支給の合計38,300円との差の1,000円だけが課税になります。

誤解2 どこの駐車場でも月5,000円まで非課税になる

非課税になるのは、勤務先の周辺か、通勤で使う駅やバス停などの周辺の駐車場だけです。

国税庁のQ&Aは、対象を次のように定めています。

  • 勤務する場所の周辺の駐車場
  • 通勤で使う駅・停留所の周辺の駐車場
  • フェリー乗り場や空港など、交通機関の施設の周辺の駐車場

自宅付近の駐車場は対象外と、Q&Aに明記されています。マンションの駐車場代を会社が手当で出していても、その分は非課税になりません。

駐輪場や回数券も入る

自転車やバイクの駐輪場も「駐車場等」に含まれます。自転車で片道2km以上を通い、駅前の駐輪場に月2,000円を払っている人なら、2,000円を距離の限度額に足せます。

複数の駐車場を使う場合は、条件を満たす駐車場の料金の合計で計算し、上限は5,000円です。料金は消費税を含めた額で数えます。

月極以外の料金は1か月分に直す

国税庁のQ&Aは、料金の決まり方ごとに1か月分の出し方を示しています。

料金の決まり方1か月分の出し方Q&Aの例
3か月単位など料金を月数で割る3か月24,000円→月8,000円
年払い年額を12で割る年79,200円→月6,600円
回数券1回分の料金×出勤日数11枚綴り1,200円・出勤20日→月2,182円
コインパーキング1か月に払った合計など1か月の支払い合計8,000円→月8,000円

回数券の例は、1回分を120円として20日分の2,400円で計算しても差し支えないとされています。コインパーキングは、時間料金と平均の駐車時間、出勤日数から出す方法も例に挙がっています。1時間200円・8時間・20日なら月32,000円です。

ただし、どの例でも足せるのは5,000円までです。コインパーキングで月3万円かかっていても、非課税の上乗せは5,000円で止まります。

片道2km未満の人は対象外

通勤距離が片道2km未満の人は、駐車場代を払っていても非課税になりません。国税庁のQ&Aは、駐車場代を足せる人から2km未満の人を除いています。距離の限度額も「全額課税」の区分です。

誤解3 非課税になれば社会保険料も下がる

通勤手当は、非課税でも社会保険料の計算には入ります。

日本年金機構のFAQは、給与規程に定めのある通勤手当を、標準報酬月額の対象となる報酬に含めるとしています。標準報酬月額は、厚生年金や健康保険の保険料を決める基準の金額です。

非課税になるのは所得税と住民税だけで、保険料はこれまでと同じ扱いです。新たに会社が駐車場代の手当を払い始めた場合は、報酬が増えるため、保険料の等級が上がることもあります。

保険料の基準が4〜6月の給与で決まる仕組みは、10月の手取りは4〜6月の給与で決まるで詳しく計算しています。

手取りはいくら変わるか

例として、片道12kmを車で通い、会社近くの月極駐車場に月8,000円を払っている会社員を考えます。会社は距離分の手当7,300円と駐車場代8,000円の計15,300円を払っているとします。

改正前2026年4月以降
非課税限度額7,300円12,300円(7,300円+5,000円)
課税される額(月)8,000円3,000円
課税される額(年)96,000円36,000円

課税される額が年6万円減ります。税金への影響は次のとおりです。

  • 所得税率5%の人:所得税(復興特別所得税を含め5.105%)と住民税10%で、年約9,060円の差
  • 所得税率10%の人:所得税10.21%と住民税10%で、年約12,130円の差

会社がもともと駐車場代を払っていた人ほど、改正の恩恵は大きくなります。 住民税は前年の所得で決まるため、2026年分の差が住民税に出るのは2027年度からです。

駐車場代が月5,000円以下なら、その全額を足せます。月4,400円の駐車場なら、限度額は距離分に4,400円を足した額です。

手当を分けずに払う会社でも計算できる

距離分と駐車場代を分けず、通勤手当としてまとめて払う会社もあります。国税庁のQ&Aは、この場合も同じ限度額で判定するとしています。

Q&Aの例では、片道50kmで月4,400円の駐車場を使う人に、通勤手当として35,000円を払っています。限度額は32,300円に4,400円を足した36,700円です。35,000円は限度額より少ないため、全額が非課税になります。

電車と車を両方使う人

自宅から駅まで車で行き、駅前の駐車場に停めて電車に乗る人は、3つを足して限度額を出します。

  • 1か月の定期代など、合理的な運賃の額
  • 車で走る距離に応じた限度額
  • 駐車場代(月5,000円まで)

合計の上限は月15万円です。Q&Aの例では、定期代115,000円、距離分32,300円、駐車場代4,000円の計151,300円が支給されています。15万円を超えた1,300円が課税になります。

片道65km以上の人は限度額そのものが上がった

駐車場とは別に、長距離を車で通う人の限度額も上がりました。片道70kmなら、改正前の38,700円が45,700円になり、月7,000円の差です。

たとえば片道70kmで、会社が距離分の手当を月45,000円払っているとします。改正前は38,700円を超えた6,300円が課税でしたが、4月以降は限度額の45,700円に収まり、全額が非課税です。年に換算すると75,600円が課税の対象から外れます。

今月やること

給与明細と年末調整の時期に、次の3点を確かめます。

  1. 給与明細で、通勤手当が課税と非課税にどう分かれているかを見る。 駐車場代を含む手当の一部が課税側に入っていれば、限度額を超えた分かどうかを確認します
  2. 駐車場の場所が対象かを確かめる。 勤務先や駅の周辺なら対象、自宅付近なら対象外です
  3. 駐車場代が変わったら、給与担当に伝える。 国税庁のQ&Aでは、料金が変わったときは従業員の申し出を受けて会社が金額を確かめる流れです

4月以降の明細で、駐車場代の全額が課税側に入っている場合は、年末調整の前に給与の担当部署へ問い合わせてください。どこまで直せるかは、会社の処理によって変わります。

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参考情報

税額は2026年分の所得税・住民税の標準的な税率で計算した概算です。実際の税額は控除の状況や自治体で変わります。通勤手当の支給基準は、勤め先の給与規程でご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。