食事補助7,500円、現金手当でもらうと年1.3万円減
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会社の食事補助で非課税になる上限が、2026年4月1日から月3,500円(税抜)より月7,500円(税抜)に上がりました。1984年から変わっていなかった金額です。
結論から書くと、**同じ月7,500円でも、現金の「食事手当」で受け取ると税金が引かれ、現物の食事補助なら引かれません。**所得税率5%の人なら、差は年13,594円です。ただし非課税になるのは、食事代の半分以上を自分で払う場合に限られます。
この記事では架空の会社員を1人置き、制度の条件を順番に当てはめます。要件は国税庁のタックスアンサーで確認しました(最終確認日:2026-10-10)。
モデルにする会社員の前提
例として、都内で働く32歳の会社員Aさんを考えます。実在の人物ではなく、計算のための架空の設定です。
- 所得税率は5%(課税所得195万円以下)、住民税は10%
- 出勤は月20日で、平日の昼食はほぼ外で買う
- 昼食代は1食750円前後、月に約15,000円
- 会社から「来年の福利厚生で、食事手当か食事補助のどちらかを導入する」と案内があった
Aさんが知りたいのは、どちらの形で受け取るほうが手元に残るかです。
現金7,500円は税引き後に約6,400円
現金で毎月7,500円の食事手当をもらうと、給与と同じ扱いで課税されます。国税庁は、深夜勤務の特例を除き、現金で渡す食事代は全額が給与として課税されると示しています。
Aさんの場合、年間9万円の手当にかかる税金はこうなります。
| 項目 | 計算 | 年額 |
|---|---|---|
| 所得税(復興特別所得税込み5.105%) | 9万円 × 5.105% | 4,594円 |
| 住民税(10%) | 9万円 × 10% | 9,000円 |
| 税金の合計 | 13,594円 | |
| 手元に残る額 | 9万円 − 13,594円 | 76,406円 |
月にならすと、7,500円のうち約6,370円しか残りません。名目は同じ7,500円でも、現金で受け取ると1割5分が税金に消えます。
この表には社会保険料を入れていません。社会保険料は給与の幅ごとに決まる「等級」で計算するため、7,500円増えても等級が変わらない人もいます。等級の境目の近くにいる人は、1つ上がると負担が増えます。
たとえば標準報酬月額30万円の人が32万円の等級に上がると、厚生年金の本人負担(料率9.15%)だけで月1,830円増えます。年金の受取額もわずかに増えますが、手取りは減ります。等級の決まり方は10月の手取りは4〜6月の給与で決まるで解説しています。
現物の食事補助なら7,500円がそのまま残る
食事補助として会社が弁当代や食事券の半分を出す形なら、条件を満たす限り税金はかかりません。国税庁が示す条件は次の2つで、両方を満たす必要があります。
- 本人が食事の価額の半分以上を負担している
- 食事の価額から本人負担を引いた残り(会社が出す額)が、1か月7,500円(消費税を除く)以下
Aさんの昼食に当てはめると、1食750円のうち会社が375円、Aさんが375円を払う形です。20日分で会社負担は7,500円、Aさんの負担も7,500円になります。
| 現金の食事手当 | 現物の食事補助 | |
|---|---|---|
| 会社が出す額 | 月7,500円 | 月7,500円 |
| 所得税・住民税 | かかる(年13,594円) | かからない |
| 社会保険料 | 等級に入る | 本人負担の割合しだい(後述) |
| 使い道 | 自由 | 食事に限られる |
| 年間で手元に残る価値 | 約76,400円 | 9万円 |
差は年13,594円です。所得税率が10%の人なら所得税が9,189円になり、住民税と合わせて年18,189円の差に広がります。
得になるのは昼に1食750円使う人
現物の補助には、本人が半分を払う条件がついています。Aさんが毎月15,000円を昼食に使うなら、そのうち7,500円が補助で浮く計算です。
一方で、ふだん家から弁当を持ってきて1食300円で済ませている人は事情が違います。補助を使うために外の食事へ切り替えると、自己負担だけで月7,500円になり、元の月6,000円より支出が増えます。補助の額ではなく、補助を使ったあとの自分の財布を見るのが判断の基準です。
Aさんのように昼食をほぼ毎日買う人には現物の補助が向きます。昼食代を抑えている人には、使い道が自由な現金手当のほうが合う場合があります。
1円でも超えると補助の全額が課税
会社負担が月7,500円を少しでも超えると、超えた部分だけでなく、補助の全額が給与として課税されます。エデンレッド社の解説では、会社負担が8,000円なら500円ではなく8,000円が課税対象になる例が示されています。
Aさんの会社で起こりやすいのは、出勤日が多い月です。1日375円の補助で月22日出勤すると、会社負担は8,250円になります。
- 20日出勤:375円 × 20日 = 7,500円 → 非課税
- 22日出勤:375円 × 22日 = 8,250円 → 全額が課税
上限は消費税を除いた金額で判定します。1食375円が税込(税率8%)の額なら、22日分8,250円は税抜で約7,639円です。税抜に直しても7,500円を超えるため、全額課税は避けられません。Aさんは、1日あたりの額と月の上限額の両方を総務担当に確認します。
もう1つの条件にも気をつけます。本人負担が半分を下回ると、7,500円以内でも課税されます。会社が600円、本人が150円のような配分は対象外です。
残業と深夜勤務は別のルール
Aさんの職場には、月に数回の残業日があります。国税庁は、残業や宿日直をする人に会社が支給する食事は、無料でも課税しないとしています。この食事は7,500円の枠とは別扱いです。
深夜勤務の人が現金で食事代を受け取る場合は、1食650円(税抜)以下なら非課税です。夜勤のある職場で働く家族がいる場合は、この特例が使われているか給与明細で確かめられます。
社会保険料は所得税と別の物差し
所得税の非課税と、社会保険料の扱いは別のルールです。社会保険では、会社が現物で出す食事を国が都道府県ごとに決めた価額で評価します。本人がその価額の3分の2以上を払っていれば、報酬には含めません。
食事券やカード型の補助をどう評価するかは、会社と社会保険労務士が判断する部分です。Aさん本人が計算する必要はありませんが、導入時の説明資料に「社会保険料への影響」の欄があるかは見ておけます。
Aさんが総務に確認する4つのこと
Aさんは、案内を受けた時点で次の4点を総務担当に聞くことにしました。
- 補助の形は現物(弁当・食事券・社員食堂)か、現金の手当か
- 1日あたりの補助額と、月の上限額はいくらか
- 本人負担が半分以上になる設計か
- 使える店やサービスが、通勤経路や職場の近くにあるか
4つ目は見落とされがちです。対象の店が職場から遠いと、補助が使えずに終わります。使える場所がない補助は、現金手当より価値が下がります。
制度の上限が上がっても、会社が補助額を上げるかどうかは会社ごとの判断です。4月以降も月3,500円のままの会社もあるため、自分の会社の今の設計を先に確かめます。
昼食代を1か月だけ記録する
Aさんが最後に決めたのは、補助を選ぶ前に昼食代を1か月記録することです。月に何日外で買い、1食いくら使っているかがわかれば、現金と現物のどちらが得かを数字で比べられます。
手書きのメモでも足りますが、キャッシュレス決済が多い人は家計簿アプリに任せると手間が減ります。マネーフォワード MEなら、カードや電子マネーの利用明細を自動で取り込み、食費の内訳を見られます。
1か月分の記録がそろえば、Aさんは「月15,000円使うから現物補助」と根拠を持って選べます。昼食を家から持ってくる日が多いとわかれば、現金手当を選ぶ判断になります。
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参考情報
税率は2026年分の所得税・住民税の標準的な率で計算した概算です。実際の税額は控除の状況や自治体で変わります。会社の補助の設計は、勤め先の担当部署でご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。