途中退職で年末調整なし、国保も入れて1月に還付申告
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2026年の途中で会社を辞め、年内に再就職しない人は、どこの会社でも年末調整を受けません。納めすぎた所得税は、2027年1月1日から自分で還付申告をして取り戻します。2026年は基礎控除などが12月に引き上げられたため、この引き上げ分も申告しないと反映されません。
退職後に自分で払った国民健康保険料と国民年金保険料は、申告で控除に足せます。ただし、退職前の給与が少ない人は、足しても戻る額が変わりません。この記事では、退職直後から還付金が入るまでを時系列で追います。最後に架空の2人で境目を計算します(制度は2026年10月24日に公式ページで確認)。
退職から還付までの流れを表で確認
先に全体の順番を示します。月はおおよその目安です。
| 時期 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 退職後1か月以内 | 前の会社から源泉徴収票を受け取る | 国税庁 No.7411 |
| 退職の翌月から | 国保・国民年金を払い、領収書を残す | 国税庁 No.1130 |
| 10月中旬〜11月上旬 | 国民年金の控除証明書が届く(1〜9月に払った人) | 日本年金機構 |
| 12月中 | 12月分の国民年金をいつ払うか決める | 国税庁 No.1130 |
| 2027年1月下旬〜2月上旬 | 10〜12月に初めて払った人の控除証明書が届く | 日本年金機構 |
| 2027年1月1日以降 | 還付申告を出す(5年以内ならいつでも可) | 国税庁 No.2030 |
年内に別の会社へ入った人は、流れが変わります。新しい会社の年末調整で精算するため、後半の「年内に再就職した場合」を読んでください。
退職直後に源泉徴収票を手元にそろえる
還付申告の出発点は、前の会社が出す源泉徴収票です。申告書には、この票の「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」を写します。
国税庁のタックスアンサーNo.2030は、還付申告ができる例を挙げています。その1つが、年の途中で退職して年末調整を受けず、税金を納めすぎている場合です。一方で、源泉徴収税額の欄が0円の人は、申告しても戻る税金はありません。
戻るお金の上限は、源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄に書かれた金額です。 申告前にこの欄を見れば、還付の有無と上限がわかります。
票が届かない場合の催促や、税務署への届出の手順は前職の源泉徴収票が来ない、年末調整に間に合わせる手順にまとめています。
退職後の毎月は保険料の支払いを記録
会社を辞めると、健康保険と年金を自分で払うことになります。払った保険料は、社会保険料控除として申告に足せます。
国税庁No.1130によると、控除の対象には国民健康保険料(国民健康保険税)と国民年金保険料が入ります。控除できるのは「その年に実際に支払った金額」の全額です。
前の会社の健康保険を任意継続した人も対象です。協会けんぽは、任意継続で払った保険料は全額が社会保険料控除の対象だと案内しています。口座振替の人には、12月中旬に「保険料納付証明書」が送られます。
12月分の国民年金は払う月で年が変わる
国民年金保険料の納付期限は、対象月の翌月末日です(日本年金機構)。12月分の期限は2027年1月末なので、1月に払うと2027年分の控除になります。
2026年度の保険料は月17,920円です。6月末に辞めた人が期限どおりに払うと、2026年中に払うのは7月分から11月分までの5か月分です。
| 払い方 | 2026年に払う月分 | 2026年分の控除額 |
|---|---|---|
| 期限どおり(12月分は1月に払う) | 7〜11月分 | 89,600円 |
| 12月分も12月中に払う | 7〜12月分 | 107,520円 |
12月分を年内に払うかどうかで、どちらの年の控除になるかが決まります。 総額は同じなので、2026年の税金が残る人だけが年内払いを考えれば足ります。
家族の分を払った場合
No.1130は、自分と生計を一にする配偶者や親族の保険料を払った場合も、払った人の控除になると書いています。退職した人の国保を同居の親が払ったなら、控除を受けるのは払った親です。
10月下旬から届く控除証明書を保管
国民年金だけは、払った金額を証明する書類が要ります。国税庁No.1130は、国民年金保険料と国民年金基金の掛金に限って、証明書類の添付か提示を求めています。
日本年金機構によると、2026年分の控除証明書は次の時期に順次届きます。書面とねんきんネットの電子データで、届く時期が少し違います。
- 2026年1〜9月に払った人:2026年10月中旬から11月上旬
- 10〜12月に初めて払った人:2027年1月下旬から2月上旬
2026年分には新しい扱いもあります。No.1130によると、2026年分以後の申告書を2027年1月1日以後に出す場合が対象です。証明書の代わりに、一定の事項を書いた明細書を添付できます。
国保と任意継続の保険料は、国民年金のような証明書の添付を求められていません。ただし金額の確認を求められたときのために、領収書や納付証明書は捨てずに残します。
年内に再就職した場合は会社の年末調整へ
年内に新しい会社へ入り、12月の給与を受け取る人は、その会社の年末調整で精算します。前の会社の源泉徴収票を新しい会社に出し、給与を合算してもらいます。
退職後から入社までに払った国保や国民年金は、年末調整の「保険料控除申告書」に書けます。国民年金の分は、控除証明書を添えて出します(国税庁No.1130)。
入社日ではなく、12月に給与を受け取る会社があるかどうかで、年末調整か還付申告かが分かれます。 12月下旬の入社で年末調整に間に合わないと言われた場合は、還付申告に回ります。
2027年1月1日以降に還付申告を出す
還付申告は、確定申告の期間(2月中旬〜3月中旬)を待たずに出せます。No.2030によると、還付申告書はその年の翌年1月1日から5年間提出できます。2026年分なら2027年1月1日から受け付けます。
申告書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作れます。源泉徴収票と、払った保険料の合計額を手元に置いてから始めます。
2026年の控除の引き上げは申告でしか使えない
2026年は基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」によると、2026・2027年分の基礎控除は104万円です(合計所得489万円以下)。給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円に上がりました。
この改正は2026年12月1日に施行され、11月までの給与の天引きは改正前のままです(国税庁Q&A)。会社員は12月の年末調整で、1年分がまとめて精算されます。
途中で辞めた人は、この精算の機会がありません。国税庁のQ&A(Q7-1)は、2026年の途中で退職し年末調整を受けていない人に触れています。改正後の控除を受けるには確定申告が必要だと明記しています。
失業手当は申告書に書かない
ハローワークで受け取る失業手当(基本手当)は、税金がかかりません。厚生労働省のQ&Aは、基本手当の給付は全て非課税で確定申告の必要はないと答えています。
国税庁No.1191のQ&Aも、求職者給付は雇用保険法第12条により課税されないと説明しています。還付申告の収入欄に、失業手当の額は入れません。
退職金は提出した書類で扱いが変わる
退職金を受け取った人は、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出したかを確かめます。国税庁No.1420によると、出していれば正しい税額が天引きされ、原則として確定申告は要りません。
ただし同じNo.1420には例外もあります。医療費控除などのために確定申告書を出す場合は、退職所得の金額も記載が必要です。還付申告をする人は、退職金の源泉徴収票も一緒に用意します。
申告書を出していなかった人は、退職金から一律20.42%が天引きされています。この場合は確定申告で精算します。
架空の2人で戻る額の境目を計算
ここからは架空の2人で計算します。社会保険料・国保・源泉徴収税額は説明のための仮の数字です。実際の額は、自分の源泉徴収票と領収書で確かめてください。
6月末に辞めたAさんは国保を足しても同じ
Aさんは、1〜6月の給与が合計150万円で、2026年6月30日に退職しました。年内は働かず、ほかの収入もありません。源泉徴収票の源泉徴収税額は、仮に2万5千円とします。
2026年分の給与所得は、150万円から給与所得控除74万円を引いた76万円です。基礎控除104万円だけで76万円を上回るため、所得税は0円になります。
結果として、天引きされた2万5千円は全額戻ります。退職後に払った国保や国民年金を足しても、税額はもう0円なので還付額は増えません。
給与だけの年収が178万円以下なら、2026年分の所得税は0円になり、源泉徴収税額がそのまま戻ります。 178万円は、基礎控除104万円と給与所得控除74万円の合計です。
9月末に辞めたBさんは保険料で3,400円増える
Bさんは、1〜9月の給与が合計360万円で、2026年9月30日に退職しました。源泉徴収票の社会保険料等の金額を仮に54万円、源泉徴収税額を仮に8万円とします。
| 計算の段階 | 保険料を足さない | 退職後の保険料を足す |
|---|---|---|
| 給与所得 | 244万円 | 244万円 |
| 社会保険料控除 | 54万円 | 60万5,840円 |
| 基礎控除 | 104万円 | 104万円 |
| 課税される所得 | 86万円 | 79万4,000円 |
| 所得税と復興特別所得税 | 43,900円 | 40,500円 |
| 還付額(8万円から差し引き) | 36,100円 | 39,500円 |
足した保険料は、国民年金の10月分と11月分の35,840円と、国保の仮の3万円です。給与所得244万円は、給与所得控除の表(国税庁No.1410)で求めました。
課税される所得が195万円未満のため、税率は5%です(国税庁No.2260)。これに2.1%の復興特別所得税が加わります。足した保険料65,840円に対し、還付は3,400円増えました。
Bさんがさらに12月分の国民年金17,920円を年内に払うと、課税される所得は77万6,000円になります。税額は39,600円となり、還付はもう900円増えます。
今日からやること
10月下旬の今から、次の順に手を付けます。
- 前の会社の源泉徴収票を探し、「源泉徴収税額」の欄を見る(0円なら還付なし)
- 退職後に払った国保・国民年金・任意継続の領収書を1か所にまとめる
- 届いた国民年金の控除証明書を、源泉徴収票と同じ封筒に入れる
- 年内に入社する予定があれば、新しい会社に年末調整の締め切りを聞く
- 年内に働かない人は、2027年1月以降に還付申告を出す
確定申告をするか迷う人は、確定申告3問診断で先に当たりを付けられます。
申告の手間の大半は、1年分の保険料の合計を出す作業です。退職した月から家計簿アプリで支払いを記録しておくと、1月に領収書を集め直す手間が減ります。
申告書そのものは、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば無料で作れます。家計簿アプリは、支払いの記録を楽にしたい人向けの選択肢です。
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参考情報
いずれも2026年10月24日に本文を確認しました(最終確認日:2026-10-24)。
- 国税庁「No.2030 還付申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
- 国税庁「No.7411 『給与所得の源泉徴収票』の提出範囲と提出枚数等」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7411.htm
- 国税庁「No.1130 社会保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/pdf/nencho_all.pdf
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等に関するQ&A」 https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/pdf/0026005-024.pdf
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 国税庁「No.1420 退職手当等を受けたとき(退職所得)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
- 国税庁「No.1191 配偶者控除(質疑応答)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191_qa.htm
- 日本年金機構「国民年金保険料」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html
- 日本年金機構「令和8年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の送付予定をお知らせします」 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202609/0924.html
- 協会けんぽ「保険料について(健康保険任意継続制度)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/005/index.html
- 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。