共働きの家族手当、夫婦どちらの会社で受け取る?
家計管理

共働きの家族手当、夫婦どちらの会社で受け取る?

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共働きの家族手当は、夫婦それぞれの会社の規程を並べ、世帯で受け取れる合計が多いほうを選ぶのが答えです。同じ子について両方の会社から受け取れない定めの会社があり、どちらで受け取るかで額が変わるためです。

もう1つの落とし穴は、夫の会社の「配偶者手当」です。妻の年収が規程の線を超えると止まります。2026年10月からはパートにも家族手当がつく場面が出てきました。妻の手当が増えた結果、夫の手当が止まることもあります。

以下では、架空のモデル世帯を使って、どの順番で何を確かめるかを追います。制度の数字は厚生労働省と人事院の公表資料で確認しました(最終確認日:2026-10-09)。

モデル世帯の前提

例として、次のような共働き世帯を考えます。人物も金額も、説明のために置いた架空の設定です。 実在の会社の規程ではありません。

  • 夫:会社Aの正社員。家族手当として、配偶者分が月1万円、子1人分が月5,000円
  • 妻:会社Bのパート。契約更新を3年続けていて、年収は98万円
  • 子:小学生が1人
  • 会社Aの配偶者手当の条件:配偶者の年間収入が103万円以下
  • 会社Bの正社員の家族手当:子1人につき月8,000円(配偶者分はなし)
  • 両社とも、同じ子について配偶者が他社で手当を受けている場合は支給しない

今、世帯で受け取っている家族手当は夫の分だけで、月1万5,000円です。年間にすると18万円になります。

2026年10月1日から、同一労働同一賃金ガイドラインに家族手当の記載が加わりました。相応に継続的な勤務が見込まれるパート・有期雇用の人には、正社員と同じ家族手当を支給しなければならない、という内容です。改正の中身と会社への聞き方はパートの家族手当はもらえる?10月からの条件と聞き方で整理しています。

更新を3年続けている妻は、会社Bの子手当の対象になる可能性が出てきました。夫婦が迷うのはここからです。

子の手当を妻へ移すと年8.4万円減

結論から書くと、このモデル世帯では、子の手当を妻の会社に移すと世帯の手当は年8.4万円減ります。

妻が会社Bで子手当を受けると、妻の収入は月8,000円、年9.6万円増えます。年収は98万円から107.6万円になります。

ここで会社Aの配偶者手当の条件に引っかかります。妻の年収が103万円を超えるので、夫の配偶者手当の月1万円が止まります。 子の手当は妻の会社に移しているので、夫の子手当の月5,000円も止まります。

今のまま子の手当を妻へ
夫の配偶者手当年12万円0円
夫の子手当年6万円0円
妻の子手当0円年9.6万円
世帯の手当の合計年18万円年9.6万円

子の手当の単価は会社Bのほうが月3,000円高いのに、世帯では年8.4万円の減収です。単価の高いほうに移せば得、とは限りません。 夫の配偶者手当という、別の手当の条件を同時に動かしてしまうからです。

会社Aの規程が「年間収入」に手当を含めて数える定めなのかどうかで、判定は変わります。規程の「収入」がどこまでを指すかは、会社Aの人事に確かめる項目です。

線が130万円の会社なら年3.6万円増

会社Aの配偶者手当の線が103万円ではなく130万円だった場合、結論は逆になります。

妻の年収は107.6万円なので、130万円の線には届きません。夫の配偶者手当は月1万円のまま残ります。子の手当だけを妻の会社に移した形になり、月5,000円が月8,000円に変わります。

  • 夫の配偶者手当:年12万円(残る)
  • 妻の子手当:年9.6万円
  • 世帯の手当の合計:年21.6万円

今のままの年18万円と比べると、年3.6万円増えます。同じ世帯・同じ働き方でも、夫の会社の線が103万円か130万円かで、年8.4万円減と年3.6万円増に分かれます。

この線は会社によってばらばらです。厚生労働省の資料によると、人事院の2024年の調査で家族手当の制度がある事業所は74.5%でした。配偶者の収入で制限を設けて家族手当を出す事業所は47.0%です。制限額の内訳は次のとおりです。

  • 103万円:20.4%
  • 130万円:16.2%
  • 150万円:3.5%
  • その他:7.0%

いずれも全事業所を100とした割合です。103万円で線を引く事業所は2016年に37.6%ありましたが、2024年には20.4%まで減っています。夫の会社が何年も前の規程のままなのか、見直したあとなのかで、答えが変わります。

家族手当 | 共働きのモデル世帯

子の手当をどちらの会社で受け取るか

妻の年収は98万円→107.6万円(子手当を受けた場合)の架空例

夫の配偶者手当子の手当世帯の年額
今のまま(子は夫の会社) 妻の年収98万円 ○ 年12万円が続く △ 夫の会社で月5,000円 △ 年18万円
子を妻の会社へ(線が103万円) 妻の年収107.6万円 × 103万円超で止まる ○ 妻の会社で月8,000円 × 年9.6万円
子を妻の会社へ(線が130万円) 妻の年収107.6万円 ○ 130万円未満で続く ○ 妻の会社で月8,000円 ○ 年21.6万円
  • ※金額・条件はすべて説明用の架空の設定です
  • ※年間収入に手当を含めるかどうかは、会社の規程で確認が必要です

資産化計画

妻が受け取り手でも問題なし

「家族手当は夫が受け取るもの」と思い込んでいる家庭がありますが、受け取り手は妻でもかまいません。

根拠は労働基準法4条(男女同一賃金)です。厚生労働省の配偶者手当の資料は、家族手当も男女で異なる扱いをしてはならないと明記しています。給与規程で「家族手当は夫である行員に支給する」と定めた銀行の事件では、1992年1月10日に仙台高等裁判所が判決を出しています。妻である行員が手当の支給を求めた裁判として、労働新聞社の判例解説で紹介されています。

夫婦のどちらが受け取るかは、性別ではなく、規程の条件と世帯の合計額で決めるものです。 モデル世帯でいえば、線が130万円の会社なら、子の手当を妻の会社で受け取る選び方が数字のうえで成り立ちます。

規程にある「扶養」の意味

家族手当の規程には、「扶養している子」「扶養親族」といった言葉がよく出てきます。この「扶養」が何を指すのかで、夫婦のどちらが対象になるかが変わります。

たとえば健康保険では、夫婦がともに被保険者のとき、子は原則として年間収入が多いほうの扶養に入ります。厚生労働省の通知(2021年8月1日から適用)には例外もあります。夫婦の年間収入の差が多いほうの1割以内なら、届出により主として生計を維持する人の扶養にできます。

モデル世帯なら、子は年収の多い夫の健康保険に入っているのが通常です。会社Bの規程の「扶養している子」が健康保険の扶養を指すなら、妻は子手当の条件を満たさない可能性があります。税の扶養や、生計を維持しているかどうかを指す規程もあります。

確かめる言葉は、次の2つに絞ると話が早く進みます。

  • 「規程の『扶養している』は、税・健康保険・生計維持のどれを指しますか」
  • 「配偶者が他社で同じ子の手当を受けている場合、こちらでの支給はどうなりますか」

国家公務員は配偶者分が廃止

夫婦の一方または両方が国家公務員なら、配偶者分の手当そのものがなくなっています。

厚生労働省の資料によると、国家公務員の配偶者に係る扶養手当は段階的に廃止されました。本府省の管理職等以外の職員の場合、2024年度は月6,500円、2025年度は月3,000円でした。2026年度からは支給されません。その代わり、子に係る扶養手当は月1万円から1万1,500円、そして2026年度は月1万3,000円に増えています。

共働きで同じ子を扶養している場合の扱いも、人事院の運用通知に書かれています。職員が配偶者と共同して同じ人を扶養しているときは、主としてその職員の扶養を受けている場合に限り扶養親族と認定できる、という内容です。つまり、同じ子について夫婦の両方が国家公務員の扶養手当を受けることはできません。

地方公務員の扱いは自治体ごとの条例と規則で決まります。国家公務員の見直しにあわせて自治体でも見直しが進んでいる、と厚生労働省の資料にあります。自分の勤務先の扱いは、給与担当に確かめてください。

夫婦で比べる順番

モデル世帯の数字をふまえると、判断は次の順番で進めると迷いません。

  1. 夫婦それぞれの会社の家族手当の規程を取り寄せる(配偶者分・子の分・支給条件)
  2. 配偶者手当に収入の線があるか、線は何万円か、手当を収入に含めるかを確かめる
  3. 子の手当の「扶養」の意味と、二重に受け取れない定めがあるかを確かめる
  4. 「今のまま」と「子の手当を移す」の2通りで、世帯の年額を出す
  5. 線の手前で収入を止めるか、超えて働くかを、手当以外の手取りも含めて決める

5番目は、手当だけでは決まりません。線を超えると配偶者手当は止まりますが、勤務時間を増やせば給与も増えます。モデル世帯で103万円の線を超えると、配偶者手当の年12万円がなくなります。世帯の手当以外の手取りが年12万円以上増えるかどうかが、線を超えて働く目安になります。 働く時間を増やしたときに時間あたりの手取りがどう動くかは、実質時給計算機で出せます。

手当以外の線にも触れておきます。厚生労働省の資料によると、2025年度の税制改正で、税の扶養の基準は103万円から123万円に上がりました。妻自身の所得税は年収160万円を超えると発生します。モデル世帯の107.6万円は、どちらにも届いていません。

ただし、健康保険の扶養の130万円や、勤務先で社会保険に入る条件は別の話です。社会保険の加入条件は106万円の壁撤廃で手取りはいくら減る?で、130万円の判定の仕方は130万円の壁、残業で超えても外れない?で確かめられます。

規程が2社分そろい、手当・税・社会保険を世帯で並べる段階になると、数字が一気に増えます。夫婦だけで組み立てるのが難しい場合は、家計の相談先を使う方法もあります。

決める前に線の位置を確認

共働きの家族手当は、子の手当の単価だけを見て選ぶと、配偶者手当の線で逆転します。モデル世帯では、夫の会社の線が103万円なら年8.4万円減、130万円なら年3.6万円増でした。

先に確かめるのは、夫婦それぞれの会社の規程にある「線の位置」と「扶養の意味」の2つです。 そのうえで世帯の年額を2通り出せば、どちらの会社で受け取るかは数字で決まります。手当の金額や条件の最終確認は、それぞれの勤務先の人事・給与担当で行ってください。

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参考情報

(制度・調査の数値の最終確認日:2026-10-09)

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。