家計管理

台風で家が壊れたら、片付ける前にやること

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先に結論を書きます。台風や大雨で家が壊れたら、片付けるより先に写真を撮ってください。壊れた場所を直したあと、濡れた家財を捨てたあとでは、被害があったことを示す材料が残りません。

気象庁の平年値(1991年から2020年の30年平均)では、台風の上陸数は9月が1.0個で月別の最多です。年間3.0個のうち3分の1が9月に集中します。8月と9月は接近数も3.3個で並びます。

この記事でわかることは3つです。

  • 片付ける前の30分でやること
  • り災証明書が要る手続きと、要らない手続き
  • 保険金で足りないときに残っている税金の窓口

片付ける前に何をすればいい?

写真を撮ります。修理も片付けも、そのあとです。

保険会社は被害の状況を調べてから支払額を決めます。調べる材料が写真しかない場面は珍しくありません。屋根に上がる必要はなく、地上から撮れる範囲で十分です。

撮っておきたいのは次の5つです。

  • 建物の全景(どの家か分かる引きの写真)
  • 壊れた部分の近景(割れたガラス、めくれた屋根材、外れた雨どい)
  • 室内の被害(天井のしみ、濡れた床)
  • 濡れた家財(テレビ、冷蔵庫、布団、衣類)
  • 水が引いたあとに壁へ残る浸水の線

スマホで撮れば撮影日時が残ります。日付が分かる形で残しておくと、あとで「いつの台風によるものか」を説明しやすくなります。

家財は写真だけでは足りません。品名・数・買ったおおよその時期をメモに残します。被害から1か月も経つと、何がいくつ駄目になったのかは思い出せなくなります。

ブルーシートを買った、業者に応急処置を頼んだ。こうした支出の領収書も捨てないでください。あとで説明する雑損控除では、災害に関連して出ていったお金が計算に入ります。

り災証明書は保険の請求に要る?

民間の火災保険の請求には、基本的に要りません。

京都市防災ポータルサイトの案内にも、はっきり書かれています。民間保険会社の保険金の請求は「各社で調査が行われますので、り災証明書は基本的に不要」です。保険会社が自前で調査する仕組みを持っているためです。

では何のために取るのか。り災証明書が要るのは、保険ではなく公的な手続きのほうです。入り口がこの証明書になっている手続きには、次のものがあります。

  • 税金や社会保険料の減免
  • 被災者向けの支援金
  • 住宅の応急修理
  • 仮設住宅の利用

名前が似た書類が2つある点も、つまずきやすいところです。

  • り災証明書:住家(住んでいる建物)の被害の程度を証明する
  • 被災証明書:住家以外の被害を証明する

京都市の例では、塀・物置・カーポート・太陽光パネル・車両は、り災証明書の対象外とされています。扱いは自治体ごとに違うため、自分の市区町村の案内で確かめてください。

申請には被害状況の写真が必要です。自己判定方式(軽い被害を写真で判定してもらう方法)では、写真は必須の添付書類になります。ここでも最初の写真に戻ってきます。片付ける前の30分が、保険と公的支援の両方を支えます

保険はいつまでに請求できる?

3年です。根拠は保険法第95条にあります。「保険給付を請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する」と定められています。

つまり、去年の台風で割れた雨どいを請求し忘れていても、まだ間に合う可能性があります。数年前に住んでいた家の被害も、同じ考え方です。

ただし、遅くなるほど不利になります。時間が経つと、その被害がどの台風によるものかを説明しづらくなるためです。修理を済ませてしまえば、なおさら証明が難しくなります。

もう1つ、請求しても出ないことがあります。免責金額(自己負担額)を超えない損害は支払われません。契約によって0円のものも、20万円のものもあります。保険証券か契約者向けページで、風災と水災の有無、そして免責金額を確認してください。

火災保険そのものの条件は、ここ数年で動いています。契約期間や水災の料率については火災保険、次の更新で10年契約は選べないで整理しています。

「保険で無料で直せる」は本当?

すぐに契約しないでください。

国民生活センターは2020年10月1日に注意喚起を公表しました。対象は「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」という勧誘です。同センターによると、この種の相談は2019年度に2,684件。2010年度の111件から約24倍に増えました。秋の台風シーズンに勧誘が増える点も、あわせて指摘されています。

相談事例には、工事をしない場合は違約金として保険金の5割を支払うという契約が挙がっています。保険金が下りたあとで解約しようとして、はじめて金額に気づく形です。

同センターが示している対応は4つです。

  • 勧誘されてもすぐに契約しない
  • 加入先の保険会社か保険代理店に相談する
  • うその理由で保険金を請求することは絶対にしない
  • 不安を感じたら早めに消費生活センターへ相談する

3つ目でつまずく人がいます。「経年劣化の分も台風のせいにしましょう」と持ちかける業者がいるためです。応じてしまえば、被害者ではなく請求する側の問題に変わります。

相談先が分からないときは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターにつながります。

保険で足りない分に公的なお金は出る?

出る場合はありますが、条件はかなり限られます。

被災者生活再建支援制度は、基礎支援金と加算支援金の2階建てです。内閣府の説明では次の金額になっています。

  • 基礎支援金:全壊等は100万円、大規模半壊は50万円
  • 加算支援金:建設・購入は200万円、補修は100万円、賃借は50万円
  • 単身世帯はそれぞれ4分の3

合計の上限は300万円です。申請期限は基礎支援金が災害発生日から13か月以内、加算支援金が37か月以内と決まっています。

ここで誤解が生まれます。この制度は、災害そのものが法律の適用対象になったときだけ動きます。台風で自分の家だけが壊れた場合、住家が全壊しても支援金は出ません。地域全体の被害の規模で決まる仕組みだからです。

自分が遭った災害が対象になっているかどうかは、市区町村の窓口で確かめるのが早い方法です。対象になっていれば、申請の入り口はり災証明書になります。

受け取った保険金に税金はかかる?

個人が建物や家財の損害で受け取る保険金には、原則としてかかりません。

国税庁の「保険と税」にも説明があります。建物の焼失や身体の傷害などを原因として受け取る保険金は、原則として課税されません。損害を穴埋めするお金であって、もうけではないためです。

例外は事業に関わる場合です。店舗の商品が焼失したときの損害保険金は、事業の収入として扱われます。

非課税だからといって、無関係でもありません。次に説明する雑損控除では、受け取った保険金を損失額から差し引きます。保険金が多く出た年ほど、控除できる額は小さくなります。

保険金でも足りないとき税金は減る?

雑損控除か災害減免法の、どちらかを選べます。両方は使えません。

雑損控除の額は、次の2つのうち多いほうです(国税庁タックスアンサーNo.1110で2026年9月7日に確認)。

  1. (損害金額+災害等関連支出−保険金等)−(総所得金額等の10パーセント)
  2. (災害関連支出−保険金等)−5万円

対象になる原因は決まっています。震災・風水害・落雷などの自然現象による災害のほか、火災と盗難、横領が入ります。詐欺と恐喝は対象外です。資産の側にも条件があり、別荘や30万円を超える貴金属は使えません。

例として、総所得金額等が400万円の会社員を考えます。台風で家財に150万円の損害が出て、保険金が100万円下り、ブルーシートなどの災害関連支出が20万円かかったとします。

  • 1の式:(150万円+20万円−100万円)−40万円=30万円
  • 2の式:(20万円−0円)−5万円=15万円

多いほうを取って、雑損控除は30万円です。所得税率が20パーセントの人なら、所得税はおよそ6万円軽くなります。保険金の100万円は、まず損害金額の150万円から差し引かれる点に注意してください。

もう1つの災害減免法は、その年の所得金額の合計が1,000万円以下の人が選べます。所得税そのものを軽くしたり免除したりする仕組みで、雑損控除とは計算の考え方が違います。損害額と所得によって有利なほうが変わるため、両方を計算してから選びます。

どちらを使うにも確定申告が必要です。年末調整だけでは終わりません。控除の申告に慣れていない人は、医療費控除で税金を取り戻す!30代が知るべき完全ガイドで申告の流れをつかんでおくと迷いにくくなります。

9月のうちに確かめる3つ

被害が出てから調べ始めると、片付けと手続きが同時に来ます。9月のうちに、次の3つだけ済ませておいてください。

  1. 保険証券を出して、風災と水災の有無、免責金額を見る。ここが分かっていないと、請求すべきかどうかの判断ができません。
  2. 市区町村のり災証明書の窓口を調べ、ハザードマップで自宅の地点を見る。窓口の名前を1回見ておくだけで、当日の動きが変わります。
  3. 家財のリストを作る。品名と買った時期を並べるだけで構いません。写真フォルダに残っている購入時の写真も、そのまま証拠になります。

台風の被害でお金が動く先は、保険・公的支援・税金の3つです。3つとも入り口が「被害の記録」でつながっています。片付けたい気持ちを30分だけ抑えて、まず写真を撮る。順番はそこからです。

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参考情報

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。