家計管理

夏休み予算5年ぶり減、体験の質は落とさない


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例として、こんな家庭を考えてみます。40代の会社員Bさん夫婦と、小学4年生・年長の子ども2人の4人家族——という架空のモデル世帯です。去年の夏はレジャーに約10万円を使いました。これは明治安田生命の「夏に関するアンケート調査」で示された前年の平均予算10万4,901円に近い金額です。

そして今年。同じ調査(2026年7月9日発表。最終確認日:2026-07-11)によると、2026年の夏休みの平均予算は8万5,145円。前年から約2万円(18.8%)減り、5年ぶりの減少となりました。「外出しない」と答えた人も41.6%と、去年の35.3%から増えています。予算を減らす理由の66.8%は「物価高で家計が厳しいため」でした。

Bさん夫婦も事情は同じです。収入が急に減ったわけではないのに、食費も光熱費も上がって、去年と同じ10万円を出す余裕がない。そこで7月のはじめ、夫婦は今年の予算を「平均並みの8万5,000円」に決めて家計会議を開きました。テーマは1つ。「予算は約2万円削る。でも、子ども2人の夏の思い出は削らない。それは可能か?」

この記事では、Bさん一家の意思決定を順に追いながら、思い出の質は守ったまま、抜けていくお金だけを狙って減らす線引きの仕方を整理します。

去年の夏、10万円はどこに消えたのか

Bさん夫婦が最初にやったのは、去年の夏の支出の振り返りです。レシートと決済履歴をたどると、予算をオーバーさせていたのは、旅行そのものではなく「予算表に載っていなかった支出」だったことが見えてきました。

夏休みの出費が痛いのは、金額の大きさだけが理由ではありません。「単発の楽しい支出」が短期間に集中し、一つひとつは正当に見えるからです。冷静なときなら「高いな」と感じる出費も、旅行先やレジャー施設という高揚した場面では判断がゆるみます。行列に並んだあとの売店、暑い中で買う飲み物、子どもが欲しがったお土産。どれも「今日くらいは」で通ってしまう。Bさん家の履歴にも、この「今日くらいは」が何十件も並んでいました。原因は3つに整理できました。

原因1:交通費と宿泊費という「大きな固定の塊」を最後に決めていた。 夏の出費の大部分は、実は現地で使うお金ではなく、そこにたどり着くまでの交通費と宿泊費です。ここが総額の半分以上を占めることも珍しくありません。Bさん家は去年、「どこで何をするか」を先に決めてから宿を探したため、残った選択肢は割高な宿ばかり。一番大きい塊を先に決めないまま日程を組むと、あとから何を削っても効きが薄いのです。

原因2:現地での「ついで買い」が連鎖していた。 入場料そのものより、施設の中で発生する飲食・お土産・アトラクションの追加課金のほうが、合計すると大きくなっていました。しかもこれは事前に金額が読めません。予算表に載らない支出こそ、あとで家計を狂わせます。

原因3:キャッシュレスで「痛みが遅れて届いた」。 QRコード決済やクレジットカードは便利ですが、支払いの痛みが翌月に先送りされます。Bさん夫婦も旅行中は残高が減る感覚のないまま使い、8月末の請求額を見て初めて青ざめました。

原因がわかれば方針も決まります。Bさん家も収入が減ったのではなく、同じ暮らしをするだけで出ていくお金が増えたことに反応している。だとすれば、削るべきは「思い出」ではなく「膨らみやすい支出の仕組み」のほうです。

選択肢の検討:遠出をやめるか、近場と組み合わせるか

次に夫婦が検討したのは、夏の過ごし方そのものです。テーブルの上には2つの案がありました。

案1:近場・自宅型に全面的に切り替える。 日帰り中心なら交通費・宿泊費はほぼかからず、予算も読みやすい。今年「外出しない」人が4割を超えたのは、裏を返せば近場・自宅型のレジャーが現実的な選択肢として定着したということでもあります。図書館・科学館・大きな公園・川遊びなど、費用がほぼゼロで満足度の高い体験は身近にもあります。

案2:例年どおり1泊以上の遠出をする。 非日常の思い出は出しやすい一方、交通・宿泊費が大きくかかり、「ついで買い」で総額が膨らみやすい。読みにくさは去年の実績が証明済みです。

整理すると、2つの案の性格はこうなります。

  • 近場・自宅型(日帰り中心):交通・宿泊費はほぼかからない/非日常感は工夫しだい/予算は読みやすい
  • 遠出・宿泊型(1泊以上):交通・宿泊費が大きくかかる/非日常感は出しやすい/ついで買いで予算が膨らみやすい

どちらが向くかは家族の人数と休みの長さで変わるため、「安いから近場」と決めつける必要はありません。ここでBさんの妻が口にしたのが、多くの親が持つ不安でした。「近場ばかりだと、子どもががっかりしないかな」。でも、子どもの満足度は金額に必ずしも比例しません。小4の長男が去年いちばん喜んだのは、高いテーマパークではなく近所の川遊びだったことを夫婦は思い出しました。

結論として、Bさん家は折衷案を選びました。1泊の遠出を1回だけ残し、残りは近場・自宅型の「費用ゼロに近い体験日」を混ぜる。全部を遠出にせず1日でも近場型を入れると、総額は大きく変わります。思い出の「量」は保ちつつ、お金のかかる「非日常」は1回に集中させる作戦です。

決定:3つの原因に、3つの手を打つ

過ごし方が決まったら、去年の3つの原因に1つずつ対応させます。Bさん家が決めたルールは次の3つでした。

手その1:一番大きい塊(交通・宿泊)から先に上限を書く

やることは順番だけです。「どこで何をするか」より前に、交通費と宿泊費の上限を先に紙に書く。Bさん家は1泊旅行のこの上限を4万5,000円と決めました。すると8万5,000円の予算から残りが自動的に見えて、現地でいくら使えるかが逆算できます。去年と順番を入れ替えただけで、計画の軸が変わりました。

手その2:現地予算を「封筒方式」で固定する

現地で使うお金は、あらかじめ決めた金額だけを現金で財布に入れておく(または家計簿アプリで「レジャー費」の枠を作っておく)。上限を物理的に見える形にしておくと、「ついで買い」の連鎖が止まります。Bさん家は現地費の枠を2万円とし、子どもたちにも出発前に「今日はここまでね」と伝えることにしました。

手その3:使った直後に記録して「痛み」を取り戻す

キャッシュレスの先送りを打ち消すには、使ったその場で記録するのが一番です。ここで役立つのが家計簿アプリ。銀行やカードと連携させておくと、レジャー中の支出も自動で分類され、「今いくら使ったか」がその日のうちに手元で見えるようになります。期間中に軌道修正できるのが大きな違いです。

「キャッシュレスは節約に不利なのでは」という心配は、使い方しだいで裏返ります。支払いの痛みが遅れる弱点はあっても、アプリと連携させれば履歴が自動で残り、むしろ「見える化」の武器になるのです。家計全体を見える化してから夏に入りたい人は、こうしたツールを一つ入れておくと、来年以降の夏も同じ失敗を繰り返さずに済みます。

結果の試算:8万5,000円で夏はこう組めた

3つのルールで組み直した、Bさん家の夏の予算表はこうなりました。

  • 1泊旅行の交通・宿泊費:上限4万5,000円(先に予約して金額を確定)
  • 旅行中の現地費:2万円(封筒方式で固定。飲食・お土産・追加課金はすべてこの中から)
  • 近場・自宅型の体験日×3日:合計1万円(川遊び・科学館・図書館イベント。交通費と昼食代のみ)
  • 予備費:1万円(急な出費用。使わなければそのまま貯金へ)

合計8万5,000円。去年より約2万円少ない予算ですが、削ったのは「割高な宿」「読めないついで買い」「痛みの先送り」という仕組みの部分だけで、旅行は1回きちんと行き、体験日はむしろ増えています。削るのは思い出ではなく、膨らむ支出の仕組み。 これがBさん家の家計会議の結論でした。

なお、今年の平均予算8万5,145円という数字は、あくまで平均です。大切なのは平均に合わせることではなく、Bさん家のように自分の家計の中で「無理なく出せる上限」を先に決めること。世帯によって適正額は違うので、平均より多くても少なくても気にする必要はありません。

そして、夏のレジャー費に回せる余裕そのものを増やしたい人は、毎月の固定費を先に整えておくのが近道です。物価高でも家計を守る!固定費を月1万円削減する3ステップで手順をまとめているので、夏の計画とあわせて見直してみてください。

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参考情報

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。Bさん一家は説明のための架空のモデルです。投資判断はご自身の責任でお願いします。