節税・税金

年末調整の書類、3枚をこの順番で書く

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年末調整の書類は、多くの会社で11月中に提出を求められます。法律上の期限はもっと遅く、扶養控除等申告書はその年最初の給与日の前日、基礎控除申告書と保険料控除申告書は最後の給与日の前日です。ただし会社側が年末の給与計算に間に合わせる都合で、社内の締め切りは前倒しになっています。

書く書類は基本3枚です。扶養控除等(異動)申告書、基礎控除申告書(兼配偶者控除等・所得金額調整控除申告書)、保険料控除申告書の順で書くと、前の書類で書いた数字を後の書類で使う場面が減り、迷いにくくなります。住宅ローン控除を2年目以降で受ける人だけ、4枚目の申告書が加わります。

この記事でわかることは次の3点です。

  • 3枚の書類を、何のためにどの順で書くか
  • 生命保険料控除証明書を電子データで受け取ったときの添付方法
  • 副業がある人が、年末調整だけで終わらせてはいけない理由

内容は国税庁の各種申告書ページで確認しました(最終確認日:2026-09-25)。

1枚目 扶養控除等(異動)申告書を書く

最初に書くのは、扶養家族の有無を伝える申告書です。扶養する家族がいない人も、自分の情報(氏名・住所・マイナンバーなど)を記入して提出します。会社が毎月の源泉徴収税額を決める土台になるため、3枚のうちもっとも早く求められます。

書く内容は主に次の3つです。

  • 本人の情報(マイナンバー・住所・配偶者の有無)
  • 控除対象の扶養親族(16歳以上)の氏名・続柄・所得の見積額
  • 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に該当する場合はその区分

2026年(令和8年)分からの変更点は、19歳以上23歳未満の親族について「特定扶養親族」の中に「特定親族」のチェック欄が新設されたことです。これは、この年齢の子がアルバイトなどで年収123万円を超えても、188万円以下なら段階的に控除が受けられる特定親族特別控除に対応するためです。該当する子がいる家庭は、この欄の記入漏れに注意してください。

扶養親族の「所得の見積額」は、給与収入から給与所得控除を引いたあとの金額で書きます。ここを給与収入そのままの金額で書いてしまう記入ミスが起きやすい箇所です。

2枚目 基礎控除申告書を書く

2枚目は、自分の所得に応じた基礎控除額を計算する申告書です。配偶者控除・配偶者特別控除を受ける人と、所得金額調整控除の対象になる人も、同じ用紙の別欄に記入します。

まず「給与所得者の合計所得金額の見積額」を計算します。年収(額面)から給与所得控除額を引いた金額です。給与所得控除額は年収に応じて表で決まっており、2026年分は最低保障額が65万円から74万円に引き上げられています。年収を書けば控除額が自動で決まる仕組みなので、まず年収の見積額を正確に出すことが先です。

基礎控除額は、計算した合計所得金額に応じて変わります。2026年分は次のように整理できます。

合計所得金額の見積額基礎控除額(目安)
132万円以下95万円
132万円超336万円以下88万円
336万円超489万円以下68万円
489万円超655万円以下63万円
655万円超2,350万円以下58万円
2,350万円超段階的に縮小・消失

多くの会社員が当てはまる合計所得489万円以下の層で、基礎控除が最大104万円まで積み上がるとニュースになったのは、この基礎控除の上乗せ措置(時限的な上乗せ分)を含めた数字です。用紙の記入欄自体は上の表の区分に沿って埋めていきます。金額区分の境目に近い人は、賞与を含めた年収の見積もりを一度計算してから書いてください。

配偶者がいる人は、同じ用紙で配偶者の合計所得見積額も書きます。配偶者特別控除を受けられる配偶者の年収上限も、基礎控除と同様に区分が変わっているため、去年の用紙をそのまま真似て書かないようにしてください。

3枚目 保険料控除申告書を書く

3枚目は、生命保険料・地震保険料・社会保険料(国民年金など)・小規模企業共済等掛金の控除を受けるための申告書です。この用紙だけ、控除証明書の添付が必要になります。

控除証明書は、紙のはがきで届く場合と、電子データで受け取る場合があります。電子データを使う方法は主に3通りです。

  1. 国税庁が無償配布している「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」を使い、マイナポータル連携で証明書データを自動取得して申告書に反映する
  2. 保険会社のマイページから電子データ(XMLファイル)をダウンロードし、会社が電子提出に対応していればそのまま提出する
  3. 電子データをQRコード付きのPDFに変換して自宅のプリンターで印刷し、紙の申告書に添付する

会社が電子データでの提出に対応しているかは、勤務先からの案内で確認してください。対応していない会社では、3の印刷方式か、保険会社から届く紙のはがきをそのまま使うことになります。証明書を紛失した場合は、保険会社のマイページか電話で再発行を依頼すれば間に合います。

生命保険料控除には「新制度」と「旧制度」があり、2012年以降に契約した保険は新制度、それより前の契約は旧制度で控除額の上限が異なります。証明書に「新制度」「旧制度」の表示があるので、そこを見て該当欄に書き写してください。

4枚目が要る人 住宅ローン控除2年目以降

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を初年度に確定申告で受けた人は、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。この場合だけ、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」という4枚目の用紙が必要です。

この用紙は、税務署から住宅ローン控除の適用年数分がまとめて送られてくるか、e-Taxで発行したものを使います。あわせて、年末時点の住宅ローン残高がわかる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を金融機関から取り寄せて添付します。証明書が電子交付に対応している金融機関なら、マイナポータル連携でも取得できます。

副業がある人はこれだけで終わらない

3枚(または4枚)を書いて提出すれば、給与にかかる税金の精算は完了します。ただし副業の所得がある人は、年末調整だけで税金の精算が終わりません。

年末調整は、その会社から受け取る給与についてだけ行われる手続きです。副業の原稿料・報酬・売上などは、年末調整の対象に含まれません。副業の所得が年間20万円を超える会社員は、確定申告で本業の給与と合算して税額を再計算する必要があります。副業からの報酬であらかじめ引かれている源泉徴収税額(多くは10.21%)は、確定申告をして初めて過不足が精算されます。

確定申告というと身構えてしまいますが、今はクラウド会計ソフトに1年分の収支を入力すれば、申告書の作成まで進められます。年末調整の3枚を書き終えたタイミングで、副業の帳簿も並行して整えておくと、翌年1〜3月の確定申告期にあわてずに済みます。

会社の締め切りに間に合わなかったら

会社が定めた社内締め切りに間に合わなくても、多くの場合すぐに大きな不利益にはなりません。会社は年末調整の書類を集計したあと、給与計算ソフトへの入力や源泉徴収票の作成を進めるため、遅れて提出すると翌月の給与や年明けの処理に回されることがあります。

会社の年末調整そのものに間に合わなかった場合は、翌年1〜3月に自分で確定申告をすれば、年末調整で受けられるはずだった控除を含めて精算できます。生命保険料控除証明書が年内に届かないなど、書類の到着が遅れているだけなら、担当部署に事情を伝えて相談してください。締め切りを過ぎたからといって控除自体を諦める必要はありません。

11月にやること

  • 会社から届く年末調整の案内で、提出期限と提出方法(紙か電子か)を確認する
  • 生命保険料・地震保険料の控除証明書を探す。届いていなければ保険会社のマイページで再発行する
  • 住宅ローン控除2年目以降の人は、金融機関の年末残高証明書も準備する
  • 副業がある人は、3枚を書き終えたら副業の収支をソフトに入力し始める

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参考情報

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記入方法の詳細は勤務先の案内または国税庁の公式ページでご確認ください。