お盆に親からもらうお金、贈与税はかかる?
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お盆で実家に帰ると、親から「これ、家計の足しにしなさい」「孫の学費に使って」と、まとまったお金を渡されることがあります。ありがたい一方で、あとから「これって贈与税がかかるの?」「申告しないと税務署に怒られる?」と不安になる人は少なくありません。
この記事は、お金を「もらう側」(子や孫)の視点で、贈与税の疑問を一つずつ答えていく形で進めます。結論を先に言うと、多くの家庭では心配しすぎる必要はありませんが、「渡し方」しだいで課税されるかどうかが変わるため、そこだけは正しく知っておく価値があります。(制度内容は2026年8月時点。最終確認日:2026-08-13)
Q. 親からお金をもらったら、いくらから贈与税がかかりますか?
A. 1年間(1月1日から12月31日まで)にもらった合計が110万円を超えた分に贈与税がかかります。これを暦年課税の基礎控除といいます。
たとえばお盆に親から50万円もらい、同じ年の年末に祖父母から30万円もらったとします。合計は80万円なので、110万円の枠に収まっており、贈与税はかかりませんし、申告も不要です。
ここで大事なのは、110万円は**「もらった人ひとりごと」に1年で合計する**という点です。父から60万円、母から60万円をそれぞれもらった場合、あなたが受け取った合計は120万円なので、110万円を超えた10万円が課税対象になります。「一人につき110万円ずつ、複数の人からもらえる」という誤解が多いので注意してください。
枠を数えるのは「あげた人」ではなく「もらったあなた」を基準にする——ここが最初のつまずきポイントです。
なお、2026年時点でも「年110万円までは非課税」というルールは廃止されていません。ネット上では「110万円の非課税枠がなくなる」という話も見かけますが、2024年に変わったのは後で説明する「相続との関係(持ち戻し)」の部分であって、基礎控除そのものは今も使えます(参考:やさしい相続相談センター/おおぬま税理士事務所)。
Q. 帰省の交通費や、生活費の援助でももらった金額に数えるのですか?
A. いいえ。親(扶養義務者)が負担する「通常必要と認められる生活費・教育費」は、そもそも贈与税の対象外です。110万円の枠とも別で、原則として上限額もありません。
具体的には、次のようなものは非課税とされています(参考:国税庁の扱いを解説する各税理士法人の記事)。
- 食費・光熱費・家賃など、日々の生活にかかるお金の援助
- 医療費や入院費用の負担
- 子・孫の学校の入学金・授業料・教材費・通学定期代・部活動費 など
ですから、実家に帰ったときの交通費を親が出してくれた、しばらく生活費を仕送りしてもらった、というレベルの援助は、金額の多少にかかわらず基本的に贈与税の心配は不要です。
ただし、ここには**「その都度」「必要な分だけ」という重い条件**が付いています。次の質問がまさにその落とし穴です。
「生活費なら何でも非課税」ではなく、「必要な時に、必要な額を」が非課税の条件だと覚えてください。
Q. 「孫の学費に」と、数年分をまとめて渡されました。これは大丈夫ですか?
A. これは課税される可能性があります。生活費・教育費が非課税になるのは、あくまで「その都度・通常必要な範囲」で渡された場合に限られるからです。
税務上の考え方はこうです。学費や生活費として非課税になるのは、実際にその費用が発生したタイミングで、その支払いに充てる分を渡した場合です。これを「都度贈与」と呼びます。逆に、次のようなお金は「生活費・教育費」の名目でも課税対象になり得ます(参考:トゥモローズ/ベンナビ相続)。
- 「これから何年分かの学費」としてまとめて渡された、大きな金額
- 生活費としてもらったが、使わずに預金・株式・不動産の購入に回した分
たとえば「大学4年分の学費として300万円を今まとめて渡す」というケースは、その年に実際にかかった学費を大きく超えているため、超えた部分が贈与とみなされ、110万円の基礎控除を超えれば課税されることになります。
では、まとまった額を援助したい親心をどう扱えばよいのか。現実的な選択肢は主に3つです。
- 必要になった年ごとに、その年の学費相当を渡す(都度贈与の王道。非課税を保ちやすい)
- 年110万円の基礎控除の範囲で、毎年少しずつ渡す(暦年贈与。使い道は自由だが枠は110万円まで)
- 相続時精算課税を選ぶ(2024年から年110万円の基礎控除が付いた。ただし一度選ぶと暦年課税に戻せないなど制約が多く、慎重な判断が必要)
なお、以前は「教育資金の一括贈与(最大1,500万円)」という、まとめて渡しても非課税にできる特例がありましたが、この特例は2026年(令和8年)3月31日で終了します。今後の教育費援助は「その都度の都度贈与」が基本になる、と押さえておきましょう(参考:相続税申告相談プラザ)。
「まとめてドンと」より「必要な時にその都度」——この一点が、余計な税金を生まないコツです。
Q. もし110万円を超えてもらったら、税金はいくらで、何をすればいいですか?
A. 超えた分に対して贈与税がかかり、もらった翌年の2月1日から3月15日までに、あなた(もらった人)が贈与税の申告をします。
税額は「(1年間にもらった合計 − 110万円)× 税率 − 控除額」で計算します。親や祖父母など直系尊属から18歳以上の人がもらう場合は「特例税率」という有利な税率が使えます。ここでは目安として、直系尊属からもらったケースを見てみましょう(数値は各税理士法人の解説による一般的な例。最終確認日:2026-08-13。正確な税額は必ず国税庁の速算表でご確認ください)。
- 例:親から1年間に200万円もらった場合 200万円 − 110万円 = 90万円が課税対象。特例税率10%をかけて、贈与税はおよそ9万円。
- 例:親から500万円もらった場合 500万円 − 110万円 = 390万円が課税対象。ここは税率15%・控除10万円の区分にあたり、390万円 × 15% − 10万円 = 約48.5万円。
「200万円もらったのに税金は9万円で済むの?」と意外に思うかもしれません。少額であれば税率は低く抑えられており、もらったお金が丸ごと税金で消えるわけではないのが実際のところです。とはいえ金額が大きくなるほど税率も上がるので、渡す前に前述の「都度贈与」や「毎年の基礎控除内」を検討する意味は大きい、というわけです。
そして忘れてはいけないのが、110万円を超えたら「税額が出るかどうか」に関わらず申告が必要という点です。申告を怠ると、後日、無申告加算税や延滞税といった余計な負担が乗る可能性があります。
Q. 「贈与された」と証明するには、どうすればいいですか?
A. お金の流れを記録として残すことです。ここは、もらう側が地味に軽視しがちで、後々トラブルになりやすいところです。
親切のつもりで現金を手渡しでもらい、そのままタンス預金にしてしまうと、いつ・誰から・いくらもらったのかが分からなくなります。とくに次の2点を意識してください。
- 手渡しより銀行振込にする。通帳に記録が残るため、いつ誰からいくら受け取ったかが明確になります
- もらったお金は、もらった本人の口座で管理する。親が子ども名義の口座を勝手に作って入金し、通帳も印鑑も親が握ったまま、というのは「名義預金」とみなされ、贈与が成立していないと判断されることがあります
「もらった証拠を残すなんて水くさい」と感じるかもしれませんが、これは将来あなた自身を守るための記録です。相続が起きたときに、家族間で「あれは贈与だった/貸したお金だった」ともめる火種を、あらかじめ消しておく意味があります。
もらったお金は、あなたの名前の口座に、振込で。この一手間が後の安心を買うと考えてください。
Q. もらったお金を将来のために運用に回したいのですが、注意点は?
A. まず税務の順番として、「生活費・教育費」としてもらったお金を、使わずに投資に回すと、その分は贈与とみなされ得ることに注意してください(前述のとおり)。運用に回すお金は、生活費の名目ではなく、**110万円の基礎控除の範囲でもらった「使い道自由のお金」**や、すでに贈与税を精算したお金を充てるのが筋の通ったやり方です。
そのうえで、まとまったお金を「使ってしまう前に少しずつ将来へ」と考えるなら、新NISAのつみたて投資枠を使い、毎月の積立に回していく方法があります。一度にまとめて投じるのではなく、時間を分けて買っていくことで、高値づかみのリスクをならせるのが積立の利点です。
もらったお金をいくら・何年積み立てると将来どのくらいになりそうか、ざっくり試算したい方は、当サイトの新NISA積立シミュレーターで数字を入れてみてください。手取りの実感がわくと、使い道の判断がしやすくなります。
新NISAを始めるための口座をこれから開くなら、手数料の安いネット証券が定番です。「もらったお金を寝かせず、無理のない額でコツコツ育てたい」という人は、口座開設が無料のネット証券から検討するとよいでしょう。
なお、証券口座はSBI証券も有力な選択肢です。取扱商品やクレカ積立のポイント還元などを見比べて、ご自身に合うほうを選んでください。投資は元本割れの可能性があるため、当面使う予定のないお金の範囲で、無理なく始めることが大前提です。
お盆の「もらう話」で、覚えておきたい一言
最後に、今日からできることを整理します。
- 1年でもらった合計が110万円以内なら、贈与税も申告も不要(もらった「あなた」を基準に数える)
- 生活費・教育費は非課税だが、条件は**「その都度・必要な分だけ」**。数年分のまとめ渡しは課税されうる
- 110万円を超えたら、もらった翌年の2〜3月に、もらった人が申告する
- もらったお金は振込で・自分名義の口座に残し、記録を残す
- 運用に回すなら**「使い道自由でもらった分」から**。まずはシミュレーターで数字を見てから
親からの援助は、渡し方を少し工夫するだけで、税金のかかり方が変わります。お盆に「これ使いなさい」と言われたときは、その場でありがたく受け取りつつ、「振込にしてもらえる?」の一言を添えられると、あとの安心につながります。
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参考情報
- 国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
- 国税庁「扶養義務者からの生活費や教育費」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
- やさしい相続相談センター「暦年贈与とは?改正内容・ポイント・注意点」 https://koyano-cpa.gr.jp/yasashii-sozoku/column/2176/
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。税額や制度の詳細は、必ず国税庁の最新情報や税理士等の専門家にご確認ください。