住宅ローンの繰上返済、控除中は待つべき?
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この記事で扱うのは「手元の余裕資金を繰上返済に回すか」の一点です。前提になる住宅ローン控除の2026年改正そのものは控除改正の解説記事に、繰上返済ではなく金利の低いローンへ乗り換える選択肢は借り換えタイミングの記事に分けています。
ボーナスが貯まった。この100万円、繰上返済に回すべき?
夏のボーナスや、コツコツ貯めた預金が100万円ほど貯まった。ふと通帳を見て、「この余裕資金、住宅ローンの繰上返済に回したほうがいいのかな」と考える30代は少なくありません。
繰上返済は「早いほど・多いほど得」とよく言われます。これは事実です。返済した元金にかかるはずだった利息が、まるごと消えるからです。
ただし、「今すぐやるほど得」とは限らないのが住宅ローンの難しいところです。とくに住宅ローン控除を受けている期間中は、急いで繰上返済したせいで、かえって手元のお金が減ってしまうケースがあります。この記事では、繰上返済の「金額の効果」と「タイミングの落とし穴」を、具体的な数字で整理します。
そもそも繰上返済には2つのタイプがある
一部繰上返済には、大きく分けて2つのタイプがあります。同じ100万円を入れても、選ぶタイプで効果がまったく変わります。
- 期間短縮型:毎月の返済額は変えず、返済する「期間」を縮める方法
- 返済額軽減型:返済期間は変えず、毎月の「返済額」を減らす方法
全国銀行協会の試算では、期間短縮型で100万円を繰上返済すると軽減できる利息は約115万円、返済額軽減型では約45万円と、その差は2倍以上になります(借入条件により変動。最終確認日:2026-07-04)。
利息を減らす効果だけを見れば、期間短縮型が圧倒的に有利です。一方で、返済額軽減型は「毎月の支払いそのもの」を軽くできるため、家計の余裕を今すぐ増やしたい人に向いています。
利息を最大限に減らしたいなら期間短縮型、今の家計を軽くしたいなら返済額軽減型。目的から選ぶのが正解です。
控除期間中に急ぐと損する3つの理由
ここからが本題です。住宅ローン控除を受けている13年間(令和6年・7年入居の場合)は、繰上返済を急ぐと逆効果になることがあります。理由は3つです。
理由1:控除額そのものが減ってしまう
住宅ローン控除は、**年末時点のローン残高の0.7%**が所得税や住民税から差し引かれる仕組みです(令和6年・7年入居の場合、最大13年間。最終確認日:2026-07-04)。
繰上返済をすると年末残高が減るため、この0.7%で計算される控除額も小さくなります。つまり、繰上返済で利息は減っても、戻ってくる税金も減るのです。金利が低い人ほど、この「控除の取りこぼし」のダメージが相対的に大きくなります。
理由2:返済期間が10年未満になると控除がゼロになることも
見落としがちですが、期間短縮型の繰上返済で残りの返済期間が10年未満になると、その年以降は住宅ローン控除の対象から外れる可能性があります。
控除を受けるには「返済期間10年以上」という条件があるためです。控除の終盤で大きく期間短縮型を使うと、残りの控除をまるごと失うことになりかねません。
理由3:繰上返済のたびに手数料がかかることがある
繰上返済には、1回あたり5,000円〜1万円程度の手数料がかかる銀行があります(ネット銀行では無料のところも多い)。少額を何度も繰り返すと、手数料負担がじわじわ効いてきます。
「早いほど得」の原則は正しい。でも控除期間中だけは、金利と控除のどちらが大きいかを天秤にかける必要があります。
判断の分かれ目は「金利」
では、控除期間中は繰上返済すべきか、待つべきか。判断の軸はシンプルで、あなたのローン金利が0.7%より高いか低いかです。
- 金利が0.7%より高い:払う利息のほうが戻る税金より大きい。繰上返済を優先する価値がある
- 金利が0.7%より低い:戻る税金のほうが大きい。控除期間中は繰上返済を控え、資金を手元に貯めておくほうが有利
たとえば変動金利0.5%で借りている人の場合、控除期間中は「返さずに貯めておいて、控除が終わってから一気に繰上返済する」ほうが得になるケースが多くなります。一方、固定金利1.5%などで借りている人は、控除中でも繰上返済の効果が上回りやすくなります。
ただし、これはあくまで「金利と控除の損得」だけを見た話です。実際には、教育費や老後資金とのバランス、手元にどれだけ現金を残すべきか、といった家計全体の視点が欠かせません。数字だけで決めると、いざというときの現金が足りなくなるリスクがあります。
こうした「我が家の場合はどう動くのがベストか」を、住宅ローン・保険・教育費まで含めて中立的に相談したいなら、無料のFP相談を一度使ってみるのも手です。特定の銀行に偏らない立場で、繰上返済と控除のシミュレーションを一緒に見てもらえます。
今日からできる具体アクション
繰上返済で損をしないために、次の順番で確認してみてください。
- 自分のローン金利を確認する:返済予定表や銀行アプリで、今の適用金利をチェック。0.7%より高いか低いかがすべての出発点です。
- 住宅ローン控除の残り年数を数える:入居年から数えて、あと何年控除が残っているかを把握します。
- 繰上返済手数料の有無を調べる:無料なら小まめに、有料ならまとめて。ネット銀行なら無料のことが多いです。
- 銀行のシミュレーションで両タイプを試す:多くの銀行サイトで、期間短縮型と返済額軽減型の効果を同時に表示できます。数字を見てから決めましょう。
- 控除期間中で金利が低いなら「待つ」も選択肢:慌てて返さず、資金を貯めて控除終了後に回す判断も検討します。
「返せるお金があるなら早く返したい」という気持ちは自然ですが、控除期間中は一度立ち止まって金利と控除を比べる。この一手間が、数十万円の差につながります。
よくある質問
Q1. 繰上返済と住宅ローン控除、結局どちらを優先すべきですか? A. 金利が0.7%より高ければ繰上返済、低ければ控除を優先(=控除期間中は待つ)のが基本の考え方です。低金利で借りている人は、控除が終わってから繰上返済するほうが有利になりやすいです。
Q2. 期間短縮型と返済額軽減型、どちらを選べばいいですか? A. 利息を最大限減らしたいなら期間短縮型、毎月の支払いを軽くして家計に余裕を持たせたいなら返済額軽減型です。同じ金額でも利息軽減効果は2倍以上変わるため、目的を明確にして選びましょう。
Q3. 手元のお金を全部、繰上返済に回しても大丈夫ですか? A. おすすめしません。病気や失業などに備え、生活費の半年〜1年分程度は現金で残しておくのが安全です。住宅ローンは低金利で借りられている場合が多く、無理に全額返すより手元資金の確保を優先すべき場面もあります。
まとめ
繰上返済は「早く・多く」返すほど利息が減るのは事実ですが、住宅ローン控除の期間中はその原則が当てはまらないことがあります。判断の軸は金利が0.7%より高いか低いか。低金利で控除期間中なら、あえて「待つ」ことが賢い選択になる場合もあります。タイプ選び・タイミング・手数料の3点を押さえて、我が家にとって一番得な返し方を見つけてください。
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参考情報
- Q. 住宅ローン減税と繰上返済、どちらを優先させた方がいいですか?|全国銀行協会
- Q. 住宅ローンの繰り上げ返済、効果的に行うには?|全国銀行協会
- 繰上返済とは(期間短縮型・返済額軽減型)|ノムコムの住宅ローン
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