こどもNISAの600万円は、子の枠の前借り
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2027年1月1日から、0歳の子どももNISA口座を持てるようになります。年60万円まで積み立てられ、非課税で置ける上限は600万円。報道では「こどもNISA」と呼ばれています。
先に結論を書きます。この600万円は、子ども本人の生涯1,800万円とは別枠ではありません。 18歳になると残高は成年のNISAへ自動で移り、その分は1,800万円の内数として数えられます。
世帯の目線と、子ども本人の目線で結論が変わります。世帯としては、親の枠に加えて子ども名義でも積めるので、いま非課税に置ける総額は増えます。子ども本人から見ると、成人後に自分の判断で使える枠が、生まれた時点から削られていく形になります。
決まっている数字を先に確認します。そのうえで、親の枠とどちらを先に使うかを整理します(最終確認日:2026-09-06)。
決まっている数字を先に置く
こどもNISAは2026年度税制改正法で創設が決まり、2027年1月1日から適用されます。要望や検討の段階ではなく、開始日まで確定しています。
条件は次の5つです。
- 対象年齢:0歳から17歳
- 年間投資限度額:60万円
- 非課税保有限度額:600万円
- 買えるもの:つみたて投資枠の対象商品のみ
- 買い方:成年のつみたて投資枠と同じく、定時・定額の積立に限定
成長投資枠は使えません。個別株や、つみたて投資枠の対象外である投資信託は買えない設計です。一括で60万円を入れることもできません。
口座名義は子ども本人で、親権者が管理します。18歳に達した時点で、残高は自動的に成年のNISAのつみたて投資枠へ移ります。
確定しているのは制度の骨格までで、申込方法や取扱商品は金融機関ごとにこれから決まります。
600万円は「上乗せ」ではない
ここが最も誤解されやすい点です。
税理士法人山田&パートナーズの解説を引きます。令和8年度税制改正大綱の内容として「0〜17歳期間の投資額は移行後の生涯限度額1,800万円に含まれる」と説明されています。つまり600万円は1,800万円の内数です。
数字で並べると分かりやすくなります。仮に17歳までに600万円を使い切った子どもは、18歳の時点で成年NISAの残り枠が1,200万円になります。600万円を使わなかった子どもは、18歳の時点で1,800万円が丸ごと残っています。
子ども時代の600万円は、増えた枠ではなく、早く使った枠です。
では損なのかというと、そうではありません。0歳から積めば運用できる期間が18年長くなります。同じ600万円でも、非課税で寝かせられる年数が違います。
教育費 | 非課税枠をどこから使うか
こどもNISAと親のつみたて投資枠
どちらを先に使うかで、子どもが成人後に持つ枠が変わります
| 非課税で置ける額 | 途中で引き出せるか | 子の生涯枠を使うか | |
|---|---|---|---|
| こどもNISA 2027年1月〜・つみたて投資枠のみ | ○ 子1人につき600万円 | △ 中学入学の年から・使途は限定 | × 600万円分を先に使う |
| 親名義のつみたて投資枠 いま使える | △ 親の1,800万円の中で配分 | ○ 時期も使い道も制限なし | ○ 子の枠は減らない |
- ※こどもNISAの600万円が成年NISAの1,800万円の内数となる点は、令和8年度税制改正大綱に基づく税理士法人の解説によります
- ※どちらも投資信託の購入であり、元本は保証されません
資産化計画
引き出せるのは中学入学の年から
こどもNISAには払出し制限が付きます。ジュニアNISAが原則18歳まで引き出せなかった点は緩みましたが、自由に出し入れできる口座ではありません。
大和総研の解説によると、条件は年齢で2段階に分かれます。
中学校入学の年より前は、原則として非課税での払出しができません。災害等で家屋に被害が出た場合などが例外です。この場合は税務署長の確認と、金融機関への書面提出が必要になります。
中学校入学の年以降は、子ども本人の教育費や生活費に使う目的であれば払出しが認められます。ただし特定累積投資上場株式等移管等依頼書の提出が要ります。窓口で手続きをして、目的を示す形です。
大学の入学金に間に合わせる用途なら、この制限はほぼ問題になりません。小学生のうちに家計が苦しくなって取り崩す、という使い方はできない、と考えてください。
60万円までなら、贈与税は基本的に出てこない
子ども名義の口座にお金を入れる行為は、税務上は贈与にあたります。ここで気にすべきは2つです。
1つ目は贈与税の基礎控除です。年110万円までは贈与税がかかりません。こどもNISAの上限は年60万円なので、この積立だけであれば枠に収まります。
気をつけるのは、基礎控除が「もらう側1人あたり」で合算される点です。 親から60万円を積み、同じ年に祖父母から60万円をもらえば合計120万円になります。110万円を超えた分は課税対象です。
2つ目は名義預金です。口座名義は子どもでも、実質的に親のお金のままと見られると、贈与が成立していない扱いになります。三菱UFJ銀行の解説では、誰からの贈与かが記録に残る形にすることが勧められています。証券口座へは子ども名義の銀行口座を経由して入金する、といった手順です。
いま親ができる判断は、順番を決めること
こどもNISAは2027年1月開始なので、2026年9月の時点では申し込めません。待っている間にやることは、親の枠をどこまで使っているかを数えることです。
判断の軸は単純です。親のつみたて投資枠にまだ余裕があるなら、先に親の枠から使うほうが自由度は高くなります。 引き出す時期も使い道も制限されず、子どもの生涯枠も減りません。
こどもNISAが効いてくるのは、次のどちらかに当てはまる世帯です。
- 親の非課税枠を使い切る見込みがあり、置き場所をもう1つ増やしたい
- 教育費として子ども本人の資産にしておきたい(払出し制限を、むしろ使い込み防止として使う)
金額の感覚もつかんでおきます。例として、0歳から月2万5,000円を17年間積むと元本は510万円です。仮に年3%で運用できたとすると、17年後は約664万円になります。増えた分は約154万円で、この部分が非課税になる計算です。運用利回りは保証されたものではなく、値下がりして元本を割ることもあります。
自分の家計でいくらになるかは、新NISA積立シミュレーターで先に出せます。数字を持っていれば、2027年に迷いません。
親の枠をまだ用意していない場合は、そちらが先です。つみたて投資枠は年120万円あり、こどもNISAの60万円より大きく、制限もありません。
なお、こどもNISAをどの金融機関で開けるかは、2026年9月時点で各社の発表待ちです。親の口座と同じ会社にそろえるかどうかは、対応が出てから決めれば間に合います。
よくある質問
Q. 廃止されたジュニアNISAと何が違いますか。
年間投資枠が80万円から60万円に下がり、買えるものがつみたて投資枠の対象商品だけになりました。一方で引き出しの条件は緩みます。ジュニアNISAは原則18歳まで払出し不可でした。こどもNISAは中学入学の年以降なら、教育費・生活費への払出しが認められます。
Q. 2026年のうちに子ども名義で何か始められますか。
こどもNISAの口座開設は2027年1月1日以降です。それまでに子ども名義でできるのは課税口座での運用か、預貯金になります。急いで課税口座で買うより、親のつみたて投資枠の残りを使うほうが税制上は有利です。
Q. 18歳になったら、こどもNISAの残高は売らないといけませんか。
売る必要はありません。成年のNISAのつみたて投資枠へ自動的に移り、その後も非課税のまま持ち続けられます。移った分が生涯1,800万円の内数として数えられる点だけ、把握しておいてください。
Q. 子どもが2人いる場合、600万円は2人分ありますか。
非課税保有限度額は口座名義人ごとの上限です。子ども1人につき600万円という設計になります。ただし贈与税の基礎控除110万円も、もらう側1人あたりで判定します。
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参考情報
- 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」 https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf
- 大和総研「2027年1月開始『こどもNISA』の概要」(2026年5月26日) https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/tax/20260526_025774.html
- 税理士法人山田&パートナーズ「NISAの投資可能年齢の拡充等」 https://www.yamada-partners.jp/reform/r8/k03-expanding-nisa-investment-eligibility-age
- 三菱UFJ銀行「こどもNISAと贈与税の関係」 https://www.bk.mufg.jp/soudan/shisan/lp/column/141.html
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。