NISAの金融機関変更、積立中は来年分から
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「NISAの口座、別の会社に移したほうが得かもしれない」
そう思い立つきっかけは、たいてい他社のポイント還元やクレカ積立の話を見たときです。ところが調べ始めると、締切の話と手続きの話が入り混じっていて、結局いつ動けばいいのか分からなくなる。ここでつまずいて、そのまま1年放置してしまう人が毎年います。
先に結論を言います。**今年すでにNISAで積立をしている人は、2026年分の金融機関変更はできません。**狙うのは2027年分で、その受付は2026年10月1日から始まります。つまり、いま急ぐべきは手続きではなく「どこに移すかを決めること」です。
以下、実際に相談で出てくる順番のまま、Q&A形式で整理します。
Q1. そもそも、NISAの金融機関はいつでも変えられるんですか?
いつでも、ではありません。変更は年単位で、しかも受付期間が決まっています。
ある年の分の金融機関を変えたいときは、その前年の10月1日から、その年の9月30日までの間に手続きを終える必要があります。2026年分でいえば、受付は2025年10月1日に始まり、2026年9月30日で締め切られます(最終確認日:2026-08-28)。
そして毎年10月1日に、翌年分の受付が新しく始まります。2027年分の受付開始日は、2026年10月1日です。
ここで多くの人が誤解します。「9月30日までに申し込めば、今年の分から移せる」と読んでしまうのです。実際には、次のQ2の条件を満たしていない限り、9月30日という締切はそもそも自分に関係ありません。
**締切より先に、自分が対象者かどうかを確かめる。**順番はこちらが先です。
Q2. 今年(2026年)のうちに変えられるのは、どんな人ですか?
条件はひとつだけです。2026年のNISA枠で、1回も買付をしていないこと。
その年のNISA口座で一度でも商品を買っていると、その年の金融機関変更はできません。買った金額の大小は関係なく、100円の積立でも1回は1回です。
これを積立中の人に当てはめると、答えははっきりします。毎月の積立設定を入れている人は、1月の時点ですでに買付が発生しています。つまり、つみたて投資枠で自動積立をしている人は、ほぼ全員が2026年分の変更対象外です。
では、対象になるのはどんな人か。実際にはこのあたりです。
- 昨年のうちに積立を止めていて、今年はまだ何も買っていない人
- 数年前にNISA口座だけ作って、そのまま放置している人
- 成長投資枠だけをスポットで使うつもりで、今年はまだ買っていない人
思い当たる場合は、9月30日という締切が現実の期限になります。ただし手続きには時間がかかるので(Q5参照)、9月に入ってから動き出すのは間に合わない可能性があります。
なお、「今年の枠を使ったかどうか」は記憶ではなく画面で確認してください。去年の設定が残っていて自動で走っていた、というケースは珍しくありません。取引履歴でNISA区分の買付があるかを見れば、5分で分かります。
Q3. 積立している人は、いつ、何をすればいいんですか?
2027年分を取りに行くことになります。段取りは3つです。
**1つ目。10月1日を待つ。**それより前に申し出ても、2027年分の受付はまだ始まっていません。9月中にできるのは、移した先で何をするかを決める作業だけです。
**2つ目。10月に入ったら、いま使っている金融機関に変更を申し出る。**ここで「金融商品取引業者等変更届出書」を提出します。名前は物々しいですが、やることは書類を1枚出すだけです。ネット証券なら、サイト内の申請フォームから請求できるところが多くなっています。
**3つ目。届いた「勘定廃止通知書」を、移りたい金融機関に提出する。**同時に、その金融機関でNISA口座の開設を申し込みます。
順番を間違えると詰まります。**新しい会社で先に手続きを始めても、古い会社からの通知書がないと話が進みません。**必ず「いまの会社に申し出る」が先です。
そしてもうひとつ、年内に終わらせたい理由があります。2027年1月から積立を再開したいなら、12月中には新しい口座で積立設定を済ませておく必要があるからです。積立設定は金融機関をまたいで引き継がれません。クレジットカード積立を使う場合は、各社が定める申込締切日にも間に合わせる必要があります。10月に動き出せば、この逆算はまだ余裕を持って組めます。
Q4. いま持っている投資信託は、移せるんですか?
移せません。ここが一番誤解の多いところです。
**金融機関を変更しても、これまでNISA口座で買った商品は、元の金融機関に置いたままになります。**新しい会社のNISA口座に、非課税のまま引っ越しさせることはできません。
ただし、置いていかれるだけで不利益が発生するわけではありません。売却しない限り、元の金融機関のNISA口座で非課税のまま持ち続けられます。新しいNISAには非課税で持てる期間の期限がないので、「移せないから期限までに売らなければ」という話にもなりません。
実務上のデメリットは、資産が2か所に分かれることです。合計額を見るのに2つの口座にログインする必要があり、どちらのIDとパスワードも維持しなければなりません。家族に資産の在り処を伝えるときも、説明が1つ増えます。
なお、生涯にわたって非課税で持てる1,800万円の枠は、金融機関ごとではなく人ごとに管理されます。口座が2つに分かれても、枠が2倍になるわけではありませんし、逆に片方が無駄になることもありません。**分かれるのは資産の置き場所であって、枠ではない。**ここを取り違えなければ、判断はしやすくなります。
Q5. 手続きは、どれくらい時間がかかりますか?
余裕を見て1か月です。
内訳はこうなります。まず、変更を申し出てから「勘定廃止通知書」が手元に届くまでに1〜2週間程度かかります。郵送でやり取りする金融機関だと、書類の往復でさらに2〜3週間かかることもあります。そこから新しい金融機関でNISA口座の開設審査があり、税務署の確認も入ります。
つまり、**締切の直前に動き出すと、書類が郵便受けにある状態で期限を越えます。**2026年分の変更が可能な人(Q2の対象者)が今から動くなら、8月中の申し出が現実的なラインです。
2027年分を狙う人にとっても、この所要期間は他人事ではありません。10月1日に申し出て、11月上旬に新口座が開き、11月から12月にかけて積立設定とクレカ登録を済ませる。この流れなら1月からの積立に間に合います。逆に12月に思い立つと、1月に間に合わない可能性が高くなります。
Q6. そこまでして変える価値は、あるんですか?
「なんとなく他社が良さそう」で動くと、労力に見合いません。判断するなら、次の4点を自分の使い方に当てはめて比べてください。
- クレカ積立の還元率と、対象カード:毎月いくらまで還元対象になるかも会社ごとに違います
- 投資信託を持っているだけでもらえるポイントの有無:積立額が増えるほど効いてきます
- 取扱商品の本数:買いたい投資信託が、その会社で買えるかどうか
- 単元未満株や外国株の手数料:成長投資枠で個別株を使うなら影響します
効き方の大きさは、金額で見ると判断しやすくなります。仮にクレカ積立の還元率が0.5ポイント違うとして、月10万円を積み立てるなら年間の投資額は120万円、その0.5%は年6,000円です。10年で6万円。無視できる額ではありませんが、口座を2つに分けてまで追う額かどうかは、人によって答えが変わります。
自分の積立額だと将来いくらになるのかを先に見ておくと、比較の基準ができます。当サイトの新NISA積立シミュレーターで、いまの積立額のまま続けた場合の金額を出してから読み進めると、6,000円の差をどう評価するかが決めやすくなります。
なお、還元率やポイントの条件は各社が頻繁に見直します。ここに具体的な数字を書いても半年後には変わっている可能性が高いので、必ず各社の公式ページで、申し込む時点の条件を確認してください。
移し先としては、楽天証券とSBI証券がネット証券の主要な選択肢になります。当サイトでは楽天証券のみ紹介リンクを持っているため、以下は楽天証券のご案内です。SBI証券を検討する場合は公式サイトで直接ご確認ください。
総合口座の開設だけなら、NISAの金融機関変更とは別に、いつでもできます。先に口座を開いて画面と商品ラインナップを見てから、10月にNISAの変更を申し出るかどうかを決める、という順番でも構いません。
Q7. 逆に、変えないほうがいい人はいますか?
います。次のどれかに当てはまるなら、いったん見送る判断も合理的です。
**積立額が小さい人。**月1万円なら年12万円、還元率0.5ポイントの差は年600円です。口座が2つに増える管理コストのほうが重く感じられるなら、動かない選択に十分な理由があります。
**いまの会社で満足している人。**買いたい投資信託が買えていて、積立が止まらずに回っているなら、それ自体が価値です。投資で一番効くのは、続けられる仕組みを壊さないことです。
**投資を始めてまだ1年未満の人。**まず1年、積立を止めずに続けられるかを確かめるほうが先です。制度の乗り換えは、続く見込みが立ってからでも遅くありません。翌年に回しても、失うのは1年分の差額だけです。
今日のうちにできること
長い記事になりましたが、今日やることは3つだけです。
- **NISAの取引履歴を開いて、2026年に買付があるか確認する。**あれば今年分の変更は対象外、なければ9月30日が現実の締切です。
- **移す候補を2社にしぼり、クレカ積立の条件と取扱商品を公式ページで確認する。**この作業は10月を待つ必要がありません。
- 10月1日以降にやることを、カレンダーに1行だけ書いておく。「いまの証券会社にNISA変更を申し出る」で十分です。
金融機関の変更は、やれば得をするものではなく、自分の積立額と使い方に照らして初めて損得が決まるものです。締切に追われて決めるのが一番よくないので、9月の1か月を「決める時間」に使ってください。
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参考情報
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。